[コラム]ものづくりの視点

vol.01「財団法人長野県テクノ財団」とは?
財団法人長野県テクノ財団専務理事
山岸 國耿

「財団法人長野県テクノ財団」は、県内企業の技術革新を支援しています。

「テクノ財団」と言っても製造業以外の方々にはなじみが薄いので、今回は当財団の狙いや事業内容を紹介します。

まず、当財団の前身は「(財)長野県テクノハイランド開発機構」と「(財)浅間テクノポリス開発機構」の二つの財団です。それぞれの事業や基金をそのまま移行した形で平成13年に設立されました。当財団の事業はこの基金の収益により運営されていますが、この基金は、県内企業等から多額の出損金をいただき造成されたものです。
当財団の狙いは、主に製造業が新しい技術を導入したり開発したりすることを支援することにより、技術革新を起こし、もって県内産業の高度化と新産業の創出を図ろうとするものです。

具体的にはまず、企業と大学等が共同研究する産学連携や、企業間の連携などによる新技術の開発等を支援しています。

また、5箇所の地域センタ-にコーディネータを配置して、各企業における研究開発や新規事業の"種"を探すとともに、その"種"に基づく研究開発から商品化までを実現するために、大学等と企業、企業と企業の情報交換や交流を活発化させる人的ネットワークの構築を行っています。

次に人材の育成です。「技術は人なり」と申しますが、高度な技術者の育成を目指して様々な技術習得のための研修会等を多数開催しています。
具体的には、数多くの先端技術の基礎や応用に関する研究会や研修会、フォーラム等を開催し、年間延べ2万4千名余の方々にご参加頂き、参加企業数では約800社に及びます。

この結果、産学官連携プロジェクト「機械・レーザ・イオンビーム複合加工による超微細デバイス開発」では技術開発が成功し数億円の売り上げにつながるなど、具体的なビジネスの成功事例も多数出てきています。

また、その他の産学官連携プロジェクトの例としては、この地域を国際競争力のあるナノテク集積地にすることを目指す「知的クラスタ-創成事業」があります。信州大学等が持つナノカーボンなどの世界的研究成果を"種"として、県内企業等60社及び大学等研究機関15、計75団体余の参加を得て研究開発が進み、国際的にも有数の成果が出てきております。

このように、当財団は、精密加工などの既存産業の競争力強化や航空宇宙などの"明日の長野県の力"を生み出す新しい産業への展開を、技術開発の面から支援しています。

レーザー・集束イオンビーム複合プラットフォーム

超精密機械加工・レーザー複合プラットフォーム


【掲載日:2008年7月31日】

山岸 國耿

財団法人長野県テクノ財団専務理事
昭和19年上田市生まれ。38年間長野県職員として長野県商工部関係機関に勤務。長野県工業試験場長を最後に定年退職。当財団浅間テクノポリス地域センター事務局長を経て、現職に就任。 http://www.tech.or.jp/