[コラム]ものづくりの視点

vol.7鉄を見て、鉄に触れ、鉄を切る
LLCプロセスフォーカス代表
森本 五百樹

やわらかい?硬い?

 ボランティアで、中学校に行き、鉄について学んでもらった時のことです。

 テーマは、「鉄を切る。」

子どもにとって鉄を切るという機会は、あまりありません。鉄が切れること自体、考えたこともないのです。素材は、鋳物と構造材(S-C材)、それに軟鋼(SS材)でした。これらを、かな鋸で切ってみるのです。

その時の感想が面白い。

 「鋳物は、やわらかい。」

 「SC材は堅い。」

 なるほど。ぽろぽろ削れる鋳物は、やわらかいか。

もろいのだが、ガラスの脆さとは違う感触なのですね。一方粘っこい軟鋼や構造鋼は、切れにくいので、中学生には堅いと感じるらしい。

  座学で、S45Cは炭素量がどうだの、FC25の硬度はどの位だのと、学ぶより、まず実際に材料を手で触って、断面を見て、さらに削ってみて、と、これが本物の勉強なんですね。あらためて当り前のことをこちらが学びました。  

世の中、どんどんバーチャルの世界が広がってきています。黒板の代わりにパソコン画面を使えば、教科書もそこに映し出せる。英語であれば、ネイティブの人の発音でその教科書を読ませることもできる。もちろん、単語の意味もクリックすれば、出てくる。簡単なテスト問題も即座に作れる。これはこれで素晴らしい世界。

  同時に鉄を実際触りながら切ってみる、というのも素晴らしい世界です。  

先生たちのアイデア一つで学習夢空間が作れる時代になってきましたね。

 

 

【掲載日:2008年10月 7日】

森本 五百樹

LLCプロセスフォーカス代表
長野市出身 1946年生まれ ㈱東芝、GE東芝タービンコンポーネンツ、北芝電機勤務を経て 2007年 LLCプロセスフォーカス設立し、プロセスアナリシスとビジネスアナリシスをツールに経営改善をコンサルテイング並びにIT支援を行なっている。