[コラム]ものづくりの視点

vol.19世界に日本の技術力の高さをアピールした日本国際工作機械見本市
LLCプロセスフォーカス代表
森本 五百樹

工作機械は十一面観音像

 日本の工作機械は、その技術の高さをとっても、出荷高の規模をとっても、世界ナンバーワンです。質、量とも、ドイツやアメリカを抜いて世界の頂点に立っています。そんな日本のレベルを見せてくれる工作機械の国際見本市が、今年も東京ビッグサイトで6日間にわたって開催されました。

 ビッグサイト全体を使った展示会ですから、全部見て回るのも大変。敷地85000㎡ですから、東京ドームの約2倍。ここに国内外工作機械や工具メーカなど600社が最先端の技術を展示してくれます。
実際行ってみると、モノを形にする機械の素晴らしさに圧倒されます。

 機械というと騒音と油。昔は、そんなイメージだったのですが、今はまったく違います。切削機械は、素早く静かにモノを削り出し、プレスは、しなやかに動きます。見ていて、その動きの美しさや創造の場にいる実感に少しくうなります。

 どんな複雑な形をしていても、材料と工具を巧妙に動かして形を作ってしまう、その高度な技術。工作機械のその姿は、なんとなく十一面観音像のようです。あちらこちらから手が出てきて、あっという間に輝く製品が出来上がってしまいます。自由自在に動く機能を備えた機械とそれを同時に即時に制御するソフトウエアの力。この二つの技術を融合させて、工作機械を世界のトップに押し上げた日本の実力は、どこから来たのでしょうか。歴史と伝統を受け継いできた先人たちの努力に頭の下がる思いです。

美術館もいいものですが、モノつくりに直接携わっていない人にとっても、2年に1度のこんな見本市に出かけてみるのも、いろんな発見をするのではないでしょうか。何といっても人間は、道具を使う動物なんですから。

 

 

【掲載日:2008年11月26日】

森本 五百樹

LLCプロセスフォーカス代表
長野市出身 1946年生まれ ㈱東芝、GE東芝タービンコンポーネンツ、北芝電機勤務を経て 2007年 LLCプロセスフォーカス設立し、プロセスアナリシスとビジネスアナリシスをツールに経営改善をコンサルテイング並びにIT支援を行なっている。