[コラム]ものづくりの視点

vol.29広く技術を探す
財団法人長野県テクノ財団 専務理事
山岸 國耿

長野県テクノ財団では、国内外に広域交流を実施しています。

 先日、当財団と同じような、企業のイノベーションや研究開発などを支援している機関の全国組織が、(財)日本立地センターの肝いりで設立されました。参加機関は、地域の第三セクタ、大学など約50機関で、名称は「全国イノベーション推進機関ネットワーク」です。
 このネットワークのねらいは、参加機関が連携し相互の情報共有や交流活動を通じ、企業のイノベーションの促進や地域発のイノベーション活動を活発化させようとするものです。

 当財団では、昨年来、イタリアの「ベネトナノテック」やカナダの「ナノケベック」などの企業の研究開発を支援している機関と、国際的な連携協定を結び活動を始めています。
 国内では、新潟県の「にいがた産業創造機構」や山梨県の「やまなし産業支援機構」、静岡県の「浜松商工会議所」などの機関と当財団が連携して、県内企業とそれぞれの県の有力な企業との間で交流会を開催し、お互いに企業の内容や技術を紹介したりして、共同研究や受注活動などに結び付ける「甲信越静広域交流事業」を実施しています。長野県の企業と新潟県の企業とで、機械装置に使用する部品を共同開発したりして、具体的な成果が出てきています。

 今回この「全国イノベーション推進機関ネットワーク」の設立総会の席上、運営委員長をされている(財)千葉県産業振興センターの飯田理事長から、参加機関に対するアンケートの結果、「コーデネータの能力アップや、販路開拓などが問題・・・」などの報告がありましたが、これは当財団と同じ課題でもあります。
 それぞれの機関の事業内容をお聞きすると、当財団の発想に無い特色ある事業も実施しており、学ぶべき点がたくさんありました。
 又、東京大学の松島先生から、当ネットワークの目指す「イノベーションとは、ハイテクのみではない、商売のやり方、仕事の仕方などを変える、即ちビジネスイノベーションなどもこのネットワーク事業の大きな対象では・・・」との提案があり私自身まったく同じ思いでしたので、思わず一人で拍手をしてしまいました。

 最初このネットワークに出席した時、私は何か情報が取れればよいが・・・程度に正直考えていましたが今回出席してみて、むしろ当財団の広域交流事業の一環として、積極的に参加しようと思うにいたりました。参加機関が、体験交流し、良い点を学びあい競いあいより大きな成果に結び付けていく、すなわち世界を相手にする「三セク オリンピック」の場ではないか・・・とも思いました。

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【掲載日:2009年4月13日】

山岸 國耿

財団法人長野県テクノ財団 専務理事