[コラム]ものづくりの視点

vol.35経営専門家の育成
財団法人長野県テクノ財団 専務理事
山岸 國耿

最適な“解(かい)”を一つに絞る

 先日、長野県テクノ財団が主催し「戦略的経営リーダー養成塾」を開催しました。タカノ(株)の元社長の堀井さんをコーディネータに、企業の後継者や次代の若手リーダーの養成を狙いとしています。初回は、タカノ(株) 様の見学と講演を頂き、次回以降参加企業を巡回して、それぞれの経営や技術課題について、コーディネータのアドバイスを頂きながら、会員相互で討論しより良い解決策に結び付けるなど、経営リーダーとしての能力向上を図ろうとする養成塾です。

 当財団では、この塾のように、経営者層を会員にした「経営幹部養成塾」、営業担当取締役などを会員とした「営業担当幹部交流フォーラム」、総務・経理担当取締役などを会員とした「経済金融情勢研究フォーラム」あるいは、技術開発幹部を会員とした「幹部技術者交流フォーラム」、「コラボネット」など、主に企業の経営専門家(テクノクラート)を育成するため、経営、技術、営業などの職層に対応した、多種にわたる塾・フォーラム等を多数開催しています。

 このような経営専門家の育成には、まず講師を囲み、共通する先進事例や各種最新・最適な経営手法(ベストプラクティス)などを研修します。
 又、"次の技術の種をどう選ぶか"、"新事業を立ち上げたいが資金調達方法は"・・・など会員が直面する課題を持ち寄り、それぞれの体験を紹介し相互に討論するなどして、課題の解決を会員全員で考えていきます。
 それらの解決策や答えは、一つではありません。多数ある"解"の中から、その企業をめぐる経営環境や技術動向を的確に把握しつつ、最適な"解"を一つに絞り込んでいく、その過程を会員が体験し洞察力や判断力を磨きます。
 又時には、懇親会等も開催し、会社内では言えない悩みなども話し合える、いわゆる腹を割った付き合いのできる"人的ネットワーク"を築いていきます。

 当財団は、人材育成といっても、第一線の若手技術者を対象とした先端技術研修会のみでなく、企業のトップ層の経営専門家の育成も、"強い企業・強い産業"を創る上で、極めて重要ですので、地域センターを中心に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

【掲載日:2009年8月 3日】

山岸 國耿

財団法人長野県テクノ財団 専務理事
昭和19年上田市生まれ。38年間長野県職員として長野県商工部関係機関に勤務。長野県工業試験場長を最後に定年退職。当財団浅間テクノポリス地域センター事務局長を経て、現職に就任。
http://www.tech.or.jp/