[コラム]ものづくりの視点

vol.40成果を生む甲信越静広域交流
財団法人長野県テクノ財団 専務理事
山岸 國耿

交流がイノベーションを生む

 先日「甲信越静広域交流事業」が、上田市で40名余の参加を得て開催されました。山梨県、長野県、新潟県、静岡県の4県の当財団と同様な企業の技術開発等を支援する機関が共同主催団体となり、各県の持ち回りで開催しています。
 それぞれの県で、この集いに参加を希望する企業を募り、会員として組織しています。会員企業の技術的強みや市場などを互いに発表し合い、シーズ、ニーズのマッチングをし、共同研究開発等に結び付けようとするものです。

 今回の交流では、会員から共同開発した機器が販売された事例や、仕事面での受発注事例など多数の成果が発表されました。その中で「県内企業については、財団などの仲介でほとんど把握できているが、県外に目を向けると、知らない企業が多数あり、技術も多様で驚く。使える技術がある・・・」等の感想が多くの会員から出されました。回数を重ねてきて、人的交流も活発に行われ、会員間の人間関係も重層的に築かれてきているのが印象的でした。

 長野県テクノ財団では、ハイテク分野をテーマとする各種技術開発研究会等を約60テーマほど開催していますが、これらの会員はほとんどすべて県内の企業で占められています。しかしこの交流事業は、県外企業との交流を狙いとしている点で、極めて数少ない特色ある事業となっています。

 実は、私は、6年ほど前に当財団に勤務していた時、新潟県で当財団と同様な事業をしている「にいがた産業創造機構」と各種事業の相談などをしているうちに、お互いが他県の企業や保有する技術のことをほとんど知らないことに気づきました。そこで企業間の相互交流をしたら役立つのではないかと考え、「信越ハイテクコリドウ(回廊)」と名付けた企業交流事業を提案しました。
 私はそのあと異動してしまいましたが、久し振りに当財団に着任してみると、共同主催団体が2県から4県に広がり、かつ大変活発な事業に発展しており驚いた次第です。

 "交流がイノベーション(革新)を生む"とよく言われますが、当財団としてもさらに近県に呼びかけて、多様な交流事業を開催し、県内企業の技術力の向上やビジネスチャンスの拡大につなげていきたいと思います。

【掲載日:2009年11月13日】

山岸 國耿

財団法人長野県テクノ財団 専務理事
昭和19年上田市生まれ。38年間長野県職員として長野県商工部関係機関に勤務。長野県工業試験場長を最後に定年退職。当財団浅間テクノポリス地域センター事務局長を経て、現職に就任。
http://www.tech.or.jp/