[コラム]ものづくりの視点

vol.61NAGANOテクノの25年、そして未来へ
長野県テクノ財団 専務理事
小泉博司

 長野県テクノ財団の専務理事、小泉博司です。商工労働行政一筋37年の県職員生活を終えて本年4月にテクノ財団にまいりました。
激化する国際競争、急激な円高に伴う産業と雇用の空洞化懸念、少子高齢化に伴う将来不安の広がりなど、日本のモノづくりはいま、多くの課題に直面しています。足もとの経済対策はもちろんですが、こういう時だからこそ人びとの英知を結集し技術革新と人材の育成に力を注がなければならないと考えております。
 あらめて申し上げるまでもなく、テクノ財団の最大の使命は、技術革新による地域産業の高度化と地域経済の活性化にあります。その際に最も重要となるのは、グローバル化時代にふさわしい牽引エンジンの創出です。マラソン競技に例えれば、力強い先頭集団によるパワーの波及効果ともいえましょう。
 活力溢れる企業群のイノベーションが、県内産業全体へ広く波及することで、競争に打ち勝つ数多(あまた)のスグレモノが生み出されていく、そんな流れを創り出せればと思っております。

 さて、(財)長野県テクノハイランド開発機構(S61.10設立)と(財)浅間テクノポリス開発機構(S60.10設立)を母体に設立した当財団も10年目、前身の両開発機構設立からは25年の節目を迎えました。近年は、「知的クラスター創成事業」や国際展開支援などの大型プロジェクトにより、事業費は設立時の約5倍、職員体制は地域センターを含め60名を超える規模となっています。さらに昨年12月には、「次世代産業の核となるスーパーモジュール供給拠点」を目標に掲げ、財団内に「コーディネートオフィス」を設置、産学官連携協議会の運営や各種先端分野の研究会を企画、実施しております。
 現在、平成24年4月を目途に「公益財団法人」へと移行するよう準備を進めておりますが、県内産業の活性化と自立化を図るという財団の責務を真摯に受け止め、覚悟を新たに職務に臨む所存でございます。今後ともご支援、ご協力をお願い申し上げます。

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【掲載日:2010年10月12日】

小泉博司

長野県テクノ財団 専務理事
1949年長野県生まれ。東京理科大(工)卒、長野県香港駐在員、県テクノハイランド開発機構事務局次長、商工労働部雇用・人材育成課長、参事兼ものづくり振興課長などを経て2010年4月より現職
http://www.tech.or.jp/