[コラム]ものづくりの視点

vol.100「てくてくナノテク旅」岡山編
財団法人長野県テクノ財団 事務局次長
古平 浩

 後楽園(日本三名園)、きび団子、そして最近ではB級(ご当地)グルメでの街おこしが話題の「岡山」は、瀬戸内海を臨む風向明媚で温暖な土地である。

 その岡山で今、地域イノベーション戦略支援プログラムで産み出されたナノテクノロジーによる「人工関節」の研究開発が進められている。岡山市内の企業と信州大学医学部との連携によるこの産学官プロジェクトは、信州発メディカルイノベーションの先行事例としても大きな期待が寄せられている。

 ところで、岡山駅に降り立つとまず目に飛び込んでくるのが、頻繁(最多で3分間隔)に発車していく路面電車の姿だ。中でもLRT(軽量軌道交通)の岡山電気軌道9200形路面、愛称「MOMO」のスタイリッシュな姿に見惚れてしまった。「MOMO」とは、「桃太郎」と岡山の名産「モモ」から名付けられたそうだ。

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 そして昨年10月から「MOMO2」がお目見えした。路面から僅か30cmというLRV(超低床車両)は「次世代型路面電車」として注目されているが、内装の床、イス等はMOMOと同様に天然木を使用。古典とモダンのコラボレーションが美しく、車窓に現れる街にも、わくわくドキドキしてくるから不思議だ。

MOMO1は人と街を楽しくする。

MOMO2は人と街を美しくする。

 これが、MOMOのデザインを手がけた工業デザイナーの水戸岡鋭治氏(岡山県出身)のコンセプトだそうだ。

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【掲載日:2011年12月27日】

古平 浩

財団法人長野県テクノ財団 事務局次長
1969年長野市生まれ。東北大学大学院文学研究科修了、博士(文学)。しなの鉄道㈱、長野県NPO活動推進課、小川村建設経済課勤務などを経て2011年4月より長野県テクノ財団事務局次長。東北大学文学研究科専門研究員、長野電鉄活性化協議会学識委員。