[コラム]ものづくりの視点

vol.106てくてくナノテク旅「バンガロール編」
国際連携コーディネータ (公益財団法人長野県テクノ財団イノベーション推進本部ナノテク・国際連携センター)
山岸晃江

 空港に降り立つとカレーの香りがした。通りには人、人、人、そして牛。未舗装の道も目立ち、埃なのか排気ガスなのか煙なのか...街が霞んで見える。

 ここは2011年の人口増加率が国内トップとなったインド第三の都市「バンガロール」(Bangalore、人口959万人)。この10年間で人口が46.68%も増え、今やインドのシリコンバレーとも言われている。

 人の急増とともに深刻化しているのが渋滞と大気汚染。昨年10月、その解決策としても期待される「バンガロールメトロ」(2路線42.3km)が開通した。といっても一部7km7分間のみだが、開通式には待ちわびた市民が長蛇の列をつくり、「Namma Metro(メトロはバンガロールの誇りだ)」と祝ったという。

 実は、バンガロールメトロの建設には、日本の資金協力と産学官による技術協力が生かされている。そんな背景もあってか、ビジネスマンたちは総じて親日的かつ熱心。今回の展示会でもアツ~い議論の連日だった。

120402.jpg

 インド人の商談の進め方はめまぐるしく、渋滞をぬうように駆けるオート・リクシャ―(三輪バイク)のようだ。参加企業のパンフレットやNAGANOの資料も瞬く間に消えた。

 訛りの強い英語で捲し立てる彼らの質問をなんとか凌ぎつつ、埃と誇りにまみれつつ、急成長するインドを肌で感じた三日間であった。


【掲載日:2012年4月 2日】

山岸晃江

国際連携コーディネータ (公益財団法人長野県テクノ財団イノベーション推進本部ナノテク・国際連携センター)
長野県内の金融機関に勤務後、16年間にわたりヨーロッパ(英仏)を拠点にアートクリエーターとして活動。2011年4月から(財)長野県テクノ財団海外展開戦略オフィスマネージャー、2012年4月から現職。
http://www.tech.or.jp/