[サイプラススペシャル]181 特殊鋼プレートの加工販売で全国展開 必要な部品を取引先にいち早く納品

長野県上伊那郡箕輪町

東信鋼鉄

箕輪町にある東信鋼鉄は、40年以上前から特殊鋼をユーザーニーズにカスタマイズしたプレートを、全国の金属加工会社に納めている。取引先の求める短期納品を実現するために24時間操業をおこなっているほか、自社トラック便や宅配便を併用した物流システムを構築している。工場では様々な工作機械が稼動しているが、取引先に良い物を早く納める「プレートメーカー」としての立場を守り続けている。

2500社に特殊鋼のカスタムプレートを納品

特殊鋼販売からスタート

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箕輪町にあるのに「東信」という文字がついていることを不思議に思い、社長の清水輝美氏(71歳)に名前の由来を聞いてみた。理由は創業者が長野県の出身で、「東京」と「信州」を結ぶという意味で命名したとのことだ。長野県への進出は1960年、当時東京に本社のあった東信鋼鉄㈱の長野営業所として下諏訪町でスタートした。その後1967年に㈱東信鋼鉄として独立。当時は特殊鋼を切断して必要な分だけ納める「切断販売」をおこなっていた。


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販売会社として初めてカスタムプレート納品を開始

会社にとって転機となったのは1969年。それまでの切断販売から、特殊鋼のカスタムプレートとして六面全てを切削、研磨などで加工した状態での納品を始めた。全国に先駆けてこの加工をおこなった理由は、取引先が使いやすい状態で納めるため。同時に当時としてはまだ珍しかった24時間の工場操業もスタートさせた。現在は翌日納品が可能となったカスタムプレートも、当時は納期に1週間かかったそうだ。


多品種少量生産で納品

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特殊鋼は鉄にさまざまな元素を配合して強化した合金鋼で、携帯電話や自動車などあらゆる産業の重要部分に使用されている。現在東信鋼鉄がカスタムプレートを納めている金属加工会社の数は、約2千5百社。箕輪町にある本社工場では、1日におよそ7千枚のカスタムプレートが製造されている。取引先の要望に応じて製造するため、品数も約5千種類に及ぶ。大きさもマッチ棒くらいのものから畳くらいの大きさのものまで、形状は様々だ。特殊鋼が全社売上の7割以上を占めるが、それ以外にもステンレスやアルミなども取り扱っている。

24時間操業で短期納品を実現

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社内で生産性を競わせる

本社のメイン工場の広さは、約2000坪。この工場ラインに配置された約130台の機械で、特殊鋼が次々とカスタムプレートに加工されていく。2交替による24時間操業のため、常にどこかの生産ラインが稼動している。左右に分けられた2つのラインを競わせることで、生産性を高めているという。


必要な場合は自社での溶断も

通常は鋼材メーカーから購入した特殊鋼を加工するが、取引先からの急な発注に対しては自社に常備している鋼材を溶断する(焼き切る)ことで対応している。この日も大きな鋼板から、必要な部分を溶断していた。非効率でコストに合わない場合もあるが、「取引先のためにいち早く納める」ということに妥協のない姿勢が貫かれている。

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自社便を活用して全国に配送

24時間以内に全国に届けるためには、通常の配送システムだけでは補いきれない。そこで東信鋼鉄は、自社便を有効活用している。毎朝早く、プレートを積んだ10台の自社便トラックが近隣のお客様に向けて出発する。遠方のお客様には、独自の路線便や宅配便を使用して全国に配送するというシステムだ。北は北海道・東北から南は九州まで、ほとんどのエリアを24時間以内で発送できるネットワークを構築している。

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「取引先にとってなくてはならない企業」になる

あくまでも「販売会社」の姿勢を守る

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これだけの規模の工場と工作機械を持っていれば、自社で金属加工製品を作り出すことも可能ではないかと聞いたところ、清水社長からこんな答えが返ってきた。「あくまでもお客様のお手伝いをするのが我々の仕事。お客様の領域に入ってしまうと、ライバルになってしまう。」あくまでも取引先に必要とされる企業となることで、存在感を高める経営理念を貫いている。


社員が幸福になる会社づくり

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1994年に社長に就任した清水氏は、数々の経営改革を進めてきた。その中で最も力を入れてきたのが、「社員が幸福になる会社づくり」。「社員が会社の道具になるのではなく、会社が社員を幸せにするための道具であるべき。」という考えに基づいて、社員の幸せを常に追求している。付加価値経営で利益の3分の1を社員に還元しているほか、多能工としての人材を育成することにも力を入れている。


社員の幸福=顧客に不可欠な存在となること

「お客様と喜びを分かち合える会社になること」が、東信鋼鉄のモットーだ。「カスタムプレート納品」「多品種少量生産」「短納期化」、これらも全て得意先の要請に答えるべく努力してきた結果、実現してきたものだ。取引先に必要とされる企業となることで会社の存在感をより高めることを、全ての社員たちが常に意識して働いている。

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【取材日:2012年07月10日】

企業データ

株式会社東信鋼鉄
長野県上伊那郡箕輪町大字中曽根530番地3 TEL:0265-70-7211
http://www.tohsin.co.jp/