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長野県長野市

ミナミサワ

長野市に本社を置くミナミサワ。トイレや洗面所に設置する後付け式自動水栓装置の開発メーカーだ。設計・開発から製造は勿論、販売からアフターサービスまでを自社で手掛けている。2012年度の信州ブランドフォーラムでは特別賞も受賞するなど、ブランドイメージの向上や製品のデザイン性も重視している。

後付け式自動水栓のパイオニア

半世紀以上水回りに関わる

「設計・開発を自社スタッフみんなで行うことが、我が社代々のDNAです。」と語るのは、社長の南澤宏一氏（65歳）。昭和30年に南澤社長の父親が南沢商会として創業後、半世紀以上に渡って水回り製品を作り続けてきた。創業当時は不凍栓などを製作していたが、現在の主力製品はトイレの便器に設置されている自動洗浄機や、洗面所にある自動水栓。製品の全てが自社で設計・開発されたもので、既存のトイレや洗面所に追加で設置する「後付け式」のものだ。

自社ブランドで勝負

ミナミサワは全ての製品を自社ブランドとして世に送り出している。最もこだわっている部分が「機能」と「デザイン」。既存トイレへの後付けでも、快適な空間を演出するよう感性価値を高め、ブランドイメージをしっかり確立することで、ユーザーや取引先の信頼を得ることを目標にしている。そのために多様なニーズに対応していて、製品ラインナップはおよそ20種類にも及ぶ。

大手のやらないことをやる

「水回り機器は大手メーカーが圧倒的に強い。大手に対抗するために、全く違うものを作る努力を続けてきた。」と語る南澤社長。後付け式の自動水栓装置を開発したのも、新築物件に設置されるケースの多い大手メーカーの製品との差別化を図るためだ。オリジナルの開発に前向きに取り組むことによって、多くの特許技術も取得してきた。

「後付け式」のメリットを最大限に生かす

電源は乾電池

製品を取り付ける際に、一番問題となるのは電源の確保。ミナミサワはその問題を解消するために、乾電池を電源とする製品を考案。人の動きを感知した瞬間だけ電源を消費するというシステムを開発した結果、単３電池２本で３年以上の長寿命を実現した。外付けの電源を必要としないため、あらゆる場所での設置を可能にした。

設置も簡単

もうひとつの特徴が「簡単に取り付けられること」。大掛かりな工事を必要としないため、短時間で取り付けが可能だ。騒音もほとんどないため、施設を使いながら短期間で多くの台数を設置できる。オールインワンのユニットなので、追加の設備や部品をほとんど必要としない。このような独自の方式で大手メーカーが容易に参入できないニッチ市場を開拓した。

設計・開発も自社で

ひとつの製品には50から100種類の部品が使用されているが、ミナミサワではこれらの部品のほとんどを外部から調達している。長年培ってきた地元部品メーカーとのネットワークで、外部の得意分野を活かした産業集積を形成している。自社で行うのは、ベースとなる部品の試作や開発と、組み立てられた完成品の検査。組立や検査の工程は女性スタッフがほとんどで、彼女たちのアイデアや意見も製品開発に反映されているという。

自社ブランド強化と企業イメージの向上を目指す

常に「お客様目線」で

こだわりは、「顧客の意見や要望をしっかり受け止め製品に生かすこと」。販売もほとんど自分たちで直接おこなっているほか、アフターメンテナンスやサポートも自社で対応しているという。現場でユーザーの不満や要望を直接聞くことによって、より使いやすい製品が生み出されていく。

信州ブランドアワードを受賞

このようなミナミサワの企業努力が認められ、2012年度の信州ブランドアワードで特別賞を受賞した。この賞は製品個々ではなく、企業全体のイメージを評価するもの。企業イメージの向上のための努力が実を結んだものだ。このほか自動水栓機もグッドデザイン賞を受賞するなど、個別の製品でも輝きを放っている。

更なる省エネ・低コスト化を目指して

今後は一般向けだけではなく女性・子供・高齢者に向けた製品作りを目指すとともに、既存製品の更なる機能向上と低価格化を進める方針だ。「トイレは憩いの場でもある。そのことに役立つような空間を提供したい。」と語る南澤社長。常に新たな製品を生み出すというチャレンジ精神と、大手メーカーに出来ない多品種少ロット生産を可能とすることで、自社ブランドの確立を成し遂げたものづくり企業だ。

【取材日：2013年2月12日】

株式会社ミナミサワ
長野県長野市中越1丁目2-22　TEL：026-263-3100
http://minamisawa.co.jp/