[サイプラススペシャル]219 ガラスの平面研磨加工にとことんこだわる 平らなガラスを更に平らに

長野県須坂市

ニットー

(株)ニットーの主力製品は、スマートフォンや一眼レフのカメラに使われているガラス基板。この平面ガラスをとことんまで平面に加工するのが、ニットーのコア技術だ。その単位はÅ(オングストローム)。ミクロンの1万分の1単位という高精度な平面加工技術が、最先端の光学機器・電気機器の心臓部を担っている。

取材後記

製糸業からガラス研磨へと変遷

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ニットーの前身は明治11年からで、当時須坂地域で盛んだった製糸業から始まった。事業転換を図り昭和18年に電子部品のコンデンサー製造をはじめて、今のニットーにあたる日東電気工業所を創業、その後メガネレンズやカメラフィルターなどの光学部門に進出した。近年はテレビやパソコンなどの液晶ディスプレイパネル用のガラス研磨加工で業績を伸ばし、現在はスマートフォンのディスプレイやカメラ部分のガラスなども手掛けている。


ガラスは魅力的な素材

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「ガラスはコスト面でも形状面でも非常に安定した素材。溶かして色々な形に加工出来るうえに、削ったり磨いたりすることで高い精度を出せて電子部品や光学部品とすることができる。」と語るのは、社長の牧恵一郎氏(46歳)。ニットーでは元板ガラスから切断・面取り・ラッピング・研磨・洗浄から、検査・出荷に至るまで、全ての工程を自社工場で行っている。


コアテクノロジーは平面研磨技術

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住宅などの窓に使われるガラスは一見すると平らに見えるが、実は数十ミクロン単位の凹凸がある。窓ガラス一枚を地球の表面に例えると、エベレストくらいの高い山に相当するという。この凹凸を大型研磨機や精密研磨機などを使って、電子部品や光学部品として使用できるオングストローム(ミクロンの1万分の1)単位の凹凸にまで平らにすることが、ニットーのコア技術だ。


環境に対する取り組みにも熱心

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「環境問題は企業が存続するうえで、最低限取り組まなければいけない責任。」と語る牧社長。工場で使用した水は、魚が住める状態にまで洗浄したうえで排出しているという。地域の方々に認めてもらう取り組みとして、欠かせないという。環境ISOも取得していて、環境負荷を少なくする努力を惜しまない。


決して諦めないものづくりに対する姿勢

「成せば成る 成さねば成らぬ 何事も」。上杉鷹山のこの言葉が、牧社長の座右の銘だ。平坦度やクリーンルームの規格など、取引先の光学メーカーや電子部品メーカーからの要求が年々厳しくなる一方だが、これを克服するために技術力とコスト力を高める努力を惜しまない。大手メーカーのニーズや方向性をいち早く情報収集し、それに応えるものづくりを続けている。

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【取材日:2013年3月19日】

企業データ

株式会社ニット―
長野県須坂市大字八重森2-2 TEL:026-245-0637 FAX:026-245-9388
http://www.nitto-gr.co.jp/