[サイプラススペシャル]221 日本の気候風土にあった通気断熱WB工法を開発 木造在来住宅を「呼吸する家」に

長野県長野市

ウッドビルド

以前から日本に根付いてきた木造在来住宅の良さを生かしつつ、夏暑く冬寒いという弱点を解消した画期的な工法が「通気断熱WB工法」だ。この工法を開発したのが、長野市にあるウッドビルド。地元の長野県は勿論、北海道から沖縄まで全都道府県の工務店と会員契約を結んでいて、着工数も8,500棟を超え長野生まれの全国ブランドに成長した。

取材後記

wb-koho03

在来工法をベースに開発

ウッドビルドは、現会長の寺島今朝成さんが1991年に創業。当時高気密高断熱住宅が日本で普及し始めていたが、現役の大工さんでもあった寺島さんは高気密高断熱の家づくりに疑問を感じていた。「日本古来の家屋の良さを生かして快適な住まいを作れないものか」。日本古来の木造住宅の特徴を生かすとともに、弱点を解消するための研究と実験を重ねて、辿り着いたのが通気断熱WB工法だった。


wb-koho04

ポイントは「通気」と「透過」

「壁に二層の通気層を作ることによって、夏涼しく冬暖かい住まいを実現しました。」とWB工法のメリットを説明するのは、社長の寺島聡剛氏(40歳)。この通気層の床下と屋根部分に形状記憶合金を使用した開閉装置が付いていて、寒くなると閉じ熱くなると開くことで温度や湿度を調節するシステムだ。壁材も昔から使われていた木材や土壁の素材を使用して、湿気が壁を透過して室内にこもらないようになっている。電気などのエネルギーを使うことなく温度変化に応じて開閉するため、省エネ性も高い住宅だ。


総合体験施設「ワンダーベース」

wb-koho05

2006年に本社を現在地に移転した際に、隣接して建てられたのがこの「ワンダーベース」。WB工法と気密性の高い住まいを比較する体感施設で、大きな建物の中に実際の建築家屋がすっぽり入っている。高い温度や湿度に設定した状態で、家屋にどのような違いが出てくるかを来場者に体験してもらっているという、まさに巨大な実験棟だ。一般の方から住宅建築の専門家まで、全国からの見学者を受け入れている。


全国に広がる会員組織

ウッドビルドでは全国の大工さんや工務店とフランチャイズ契約を結んで、WB工法に使われる部材を供給している。会員数は今年740社に達し、全国の都道府県に広がった。大手住宅メーカーではなく地域に根差した住宅建築会社と手を結ぶことで、在来工法を守り続けたいという意向もあり、会員数も新築着工数も順調に増加しているという。

wb-koho06

大工さんの素晴らしさを後世に伝えたい

現在はWB工法の更なる普及のために全国を飛び回る寺島社長だが、もともとは大工さんとして家づくりの現場で活躍していた。そんな寺島さんが中心となって、子供たちに木のぬくもりを感じてほしいという想いから、ワンダーベースで「大工さんの木工教室」を定期的に開催している。日本の伝統である木を使った家づくりの素晴らしさを次世代の子供たちに伝える活動も、大工さんのDNAが成せる取り組みなのだろう。

wb-koho07

【取材日:2013年04月11日】

企業データ

株式会社ウッドビルド
長野市若穂綿内364-4 TEL:026-268-5588
http://www.wb-koho.com/