[サイプラススペシャル]225 本社工場のノウハウを生かして新事業を立ち上げ 受注したオーダーシャツをその日のうちに発送

長野県千曲市

フレックスジャパン

通常ワイシャツのオーダーは、注文を受けてから完成して手元に届くまでに1週間から10日ほどかかる。これを受注したその日のうちに発送しようという取り組みを始めたのが、千曲市にあるシャツの大手メーカー・フレックスジャパンだ。会長自らが陣頭指揮を取っていて、海外にシフトしてきた生産拠点を本社工場に少しでも戻そうという狙いもあるようだ。

取材後記

顧客ニーズを逃さないための試み

「世の中が忙しくなる中で、オーダーシャツもお客様の要望に間に合わせる必要がある」と語るのは矢島久和会長(84歳)。通常は1週間から10日かかるオーダーシャツを、受注したその日のうちに発送する取り組みを本社一丸となってはじめたところだ。当面はインターネット販売のみで実験的に始めるというが、新たなビジネスチャンスの開拓に向けて着々と準備を進めている。

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キーワードは「TSS」

この取り組みを後押ししたのが、TSSと呼ばれるトヨタ自動車のノウハウを取り入れた生産システムだ。その特徴は、一つのラインで多品種生産に対応できることと、仕上がり期間を短くできること。フレックスジャパンの本社工場では以前からこのシステムを採用していて、受注から発送までを一日で仕上げる取り組みをスムーズに導入出来たという。

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多様化するシャツの色柄やデザイン

以前はワイシャツと言えば白がほとんどで、サイズは違うものの色柄やデザインはほぼ一緒だった。ゆえにワイシャツは大量生産される「工業製品」と位置付けられ、生産拠点も海外へのシフトが続いた。フレックスジャパンでも現在全製品の9割以上が海外生産で、国内工場の比率は2%程度だという。ただ近年はニーズの多様化によってアイテム数も約5万種類となり、大量生産だけでは市場の要望に応えられない状況になってきている。

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多品種少ロットに対応できる発送システム

現在年間1000万枚のシャツを生産するフレックスジャパンでは、国内外の工場で生産されたシャツを一旦本社に集約して、全国に発送するシステムを持っている。大量のシャツがラインで自動選別されて全国の販売店に発送される。色柄やデザインの異なる様々なシャツが、ピーク時には1日10万枚も全国に発送されるという。

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生産拠点を本社に回帰する取り組み

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今回のオーダーシャツを短期納品する取り組みの背景には、本社での生産を復活させる目的もある。シャツのパーツは1枚当たり21個あり、それを1工程1工程組み合わせて短期間で多品種のオーダーシャツを製造することは、本社工場でしか出来ないという。長野県のものづくり企業として地元での生産を回復しようとする矢島会長の下、本社工場のスタッフたちが新サービスの実現に向けて努力を続けている。

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2010年の取材記事はこちら

【取材日:2013年05月20日】

企業データ

フレックスジャパン株式会社
長野県千曲市屋代2451 TEL:026-261-3020
http://www.flexjapan.co.jp/