[サイプラススペシャル]244 栗の風味をそのまま生かす菓子づくり 小布施の地で栗菓子を作り続けて二百年

長野県小布施町

桜井甘精堂

栗の産地であり、観光地としても有名な信州・小布施町。ここで江戸期の創業以来栗菓子を作り続けているのが、桜井甘精堂だ。落雁・栗ようかん・栗かの子の製造販売をはじめ、モンブランなどの洋菓子製造やレストラン経営も行っている。時代が変わっても創業以来守り続けているのが、栗の風味を生かした菓子作りだ。

取材後記

二百年以上にわたる栗菓子づくり

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「おいしいものを作って、お客様に喜んで食べていただくことが、我が社が最も心がけていることです。」と話すのは、九代目社長である桜井昌季さん。1808年の創業以来200年以上に渡って、落雁をはじめ栗ようかん・栗かの子などを小布施の街で作り続けてきた。代々、新しい栗菓子の開発にも力を注ぎ、シュークリームなどの洋菓子や、最近では栗あん入りのソフトクッキーやどら焼きなどを世に出してきたが、伝統として受け継がれているのが「美味しい栗菓子づくり」へのこだわりだ。

良質の栗を工場で丹念に加工

取材に訪れた9月は、ちょうど栗の収穫時期。本社に隣接する工場内では、栗の加工が最盛期を迎えていた。選りすぐられた原料の栗を生の状態から蒸して皮むきをして、栗あんにするまでを一貫して自社工場で手掛けている。製造部門の責任者である橋澤克之さんが「今年は良い栗が取れました。この栗の風味を生かして栗菓子を作ります。」と話すように、素材の良さを最大限引き出す加工が行われている。

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栗菓子として「100点満点」を目指す

桜井甘精堂の洋菓子の中で代表的な商品であるモンブラン。特徴を桜井社長に伺うと、こんな答えが返ってきた。「当社は菓子として100点を目指すのではなく、栗菓子として100点を目指している。栗の風味が強すぎてケーキとしてはバランスが悪いというご指摘もあるが、栗好きの方には絶対に満足していただける。」素材である栗の風味を生かすことへのこだわりが伺える象徴的な言葉だ。

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くつろぎの空間を提供

25年前に始めた和食レストラン「泉石亭」。この秋新装オープンして、よりくつろげる場所となった。お客さんの約9割は観光客だが、地元の人にも愛されるお店にすることが、今回のリニューアルの大きな目的だ。「とにかく来たお客さんには、美味しいものを食べながらゆっくりとくつろいでほしい。何度でも来たくなるようなお店にしたかった。」と桜井社長が話すように、地元からも観光客からも愛されるお店を目指している。

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栗の風味を生かすことが全て

美味しい栗菓子づくりにとって最も大切なことは、原料である栗の風味をひたすらに生かすことだというのが、桜井甘精堂のこだわりだ。そのためには特別なことをせず、逆に余計な手間や工程を省いていくことが大切だという。栗の街である小布施の地で、満足してもらえる栗菓子を提供すること。今後時代が移り変わっても、桜井甘精堂のこの社是は未来永劫変わることはないだろう。

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【取材日:2013年9月12日】

企業データ

株式会社桜井甘精堂
長野県上高井郡小布施町大字小布施2460-1 TEL:026-247-2132
http://www.kanseido.co.jp