[サイプラススペシャル]254 「良い製品」を「売れる商品」に 県内ものづくり企業のブランド力を向上

長野県松本市

長野県地域資源製品開発支援センター

優れたものづくり企業が数多くある長野県だが、自社製品をPRすることが苦手な企業が多いのも実情だ。この問題を解消するために長野県がおこなっているのが、地域資源製品開発支援センターによるサポート。企業とタッグを組んでブランド力を向上するとともに、完成品を積極的にアピールするなど、ものづくり企業を多方面から支援している。

取材後記

「良いもの」を「売れる良いもの」に

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地域資源製品開発支援センターは、松本市にある長野県工業技術総合センター環境・情報技術部門の中に平成20年(2008年)に設立された。長野県の「良い商品」を更に良いものにするとともに、広く知らしめることによって「売れる良い商品」にすることが最大の目的だ。企画から製品化までは勿論、その後の情報発信までをトータルでおこなってものづくり企業を支援している。


4つのプロセスで企業を支援

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現場のリーダーである五味英紀プロデューサーは、県内のデザイナーや技術者とともに数多くの実例に携わってきた。①「まず企業にヒアリングしてどんな商品を作るかの企画・構想」を一緒に練り、②「商品の仕様・デザインを決めていく」。そのうえで③「完成した商品をどのように伝えていくかというプロモーションを支援」するとともに、④「広範囲にプレスリリースをおこなう」という手順だ。これらのプロセスに全て関わることによって、今までも数多くの商品が生み出されてきた。


具体的な実例も

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この「フラッシュマン・ノンタッチ」は、開発したばかりの製品。後付式水栓装置のメーカー・ミナミサワと共同開発したものだ。蛇口の部分に手を近づけるだけで、栓をひねることがなく水が流れる仕組みになっている。衛生的に使えるため、病院などの施設での導入が進んでいるという。2013年グッドデザイン賞にも選定された。


ちょっとした工夫でブランド力を向上

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こちらの製品は、木祖村にある那須野画材工業と共同で開発した「小さなキャンバス」。元々油彩画用のキャンバスを製造していたが、小型化することでクラフト製品としても使えるよう用途を広げる提案をした。デスクに置く小物や飲食店でのメニュー表記などにも利用できると好評で、ネット販売などで利用が広がっている。


「長野県らしさ」をPR

長野県のものづくり企業は非常に真面目で勤勉な反面、その良さを伝えていかないと売りには結びついていかないことを、開発支援センターのスタッフ全員が痛感している。五味プロデューサーも、「『作ること』に止まらず、『伝えること』と『届けること』を加えてバランスよく発信していきたい」と当初からPRも含めて考えることの必要性を重視している。長野県らしい商品を生み出し、それをいかにして受け手に伝えていくか。その課題への飽くなき挑戦は、今も続いている。

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【取材日:2013年12月09日】

企業データ

長野県地域資源製品開発支援センター
松本市野溝西1-7-7 TEL:0263-25-0982
http://www.gitc.pref.nagano.lg.jp/joho/chiikishigen/