[サイプラススペシャル]260 時代を先取り!先進の農業用薬剤散布車 果樹農家の強い味方!昭信スピードスプレヤー

長野県須坂市

ショーシン

赤・黄色・緑カラフルなボディ
超低重心のスタイル

赤、黄色、緑の色鮮やかなボディに超低重心の車高。
ロケットやスポーツカーのように見えるこのクルマは…!?
今回ご紹介するのは須坂市のショーシン。
「一気通貫」長野県須坂市の工場で作られるマシンは、果樹農家の強い味方として全国で活躍している。

グッドデザイン「金賞」受賞

超低重心のスピードスプレヤー(SS)

 「これは、昭信スピードスプレヤー。農業用薬剤散布車です。」佐藤之彦さんは自社製品「昭信スピードスプレヤー」を全国の果樹農家に広げる販売担当の若手社員だ。スピードスプレヤー、略してSS(エスエス)が活躍するのはリンゴやモモなどの果樹園。果樹の防除といって、病気や害虫から果物をまもる、消毒作業を行うクルマだ。

 「ウチのSSの自慢は超低車高。 119.5cmだからブドウ畑もばっちりです。」昭信スピードスプレヤー最大の特長は、超低車高。いままで不可能だった棚の低いブドウ、ナシなど下枝の低い果樹園でも余裕で作業ができると好評だ。コックピットのような社内に乗り込んで運転するキャビンタイプの室内も広々。大柄の佐藤さんが乗り込んでも余裕がある。しかもエアコン完備、バックモニター付という乗用車並みの装備を備える。

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「今までにないもの」をつくる!

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 スピードスプレヤーは、タンク車を小型化しグッと上から潰したようなカタチだ。全長はおよそ4m、車体重量は1200kgほど。運転席の後ろには600や1000リットルといった大型タンクを備え、ここに薬剤を入れる。後面についた大型ファン(羽根)から空気を吸い込み、上部・左右に一気にクスリを散布する。
 「お客様の声を反映して改善改良を加えていくのはもちろん、『今まで世の中にないもの』をコンセプトに商品はどうあるべきかという本質をとらえ開発している」と小林雄一郎社長が語るように、ショーシンはこれまで他社に先駆け「今までなかった」ものづくりを続けている。その一つが、薬剤散布の性能を決める大型ファンだ。「静音湾曲ファン」と名付けられた12枚の羽根をよく見ると、緩やかに曲がっている。「潜水艦のスクリューの原理です」というように、このカーブによって回転時の音が静かになる。「実際に農作業にあたる人や、果樹園の周りで暮らす人などの環境にも配慮しています。車体の軽量化も進め、燃費も改善しています。」

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一歩先行く「先進性」で市場をつくる

「一気通貫」が強み

 長野電鉄北須坂駅に近いショーシン本社工場。西向きの緩やかな扇状地に位置し、周辺はブドウやリンゴといった信州特産の果物の産地でもある。
  「『一気通貫』がショーシンの強み」と、小林社長。麻雀の役で1から9までの数字がすべて揃うように、設計から製造、販売に至るまで、須坂市の本社工場で一貫して行われている。「本社で顔を突き合わせ直接のやりとりする中で開発・製造しているので、スピーディーに対応できる。」実際に工場を見学させていただくと、レーザー加工で金属板を切り抜く作業中だった。こうした部品の加工から、最後の組み立てまで「エンジン以外」ほとんどが社内で作られている。

 スピードスプレヤー市場は全国3社がシェアを分け合う寡占状態だ。中でもショーシンはトップを維持するものの「他の2社は一部上場の大手総合農機具メーカー。一歩進んだ新しいものを開発し、市場を自ら作っていきたい」と小林社長は続ける。大手と伍して戦うための武器が、スピーディーな開発が可能な「一気通貫」の本社工場だ。

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快挙!グッドデザイン【金賞】

 機能を追求したスピードスプレヤーは、そのデザイン性からも注目を集めている。
 600リットルのタンクを備え、高さ1195mmの超低車高ボディが特徴の売れ筋モデル「3S-FSC600TL」は、トヨタやナイキといった世界ブランドと並び、2012グッドデザイン「金賞」を受賞した。
 小林社長は40代。社長に抜擢される前は、設計現場のエンジニアだった。「今までどこにもなかったものを作りたいという思いは、設計にも活かされています。」グッドデザインのデザイナーには小林社長の名前が記されている。
 今シーズンの新商品は、グッドデザイン金賞を継承した1000リットルの大型タンク版。「より広く消毒したい」という農家の要望に応えつつ、全高も1230mmと低車高のデザインは健在だ。

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若い人にも使ってもらいたい

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 「若い方にも興味をもってもらえる農業機械をつくりたい」と、代表取締役会長の真嶋良和さん。「少子高齢化が進み、農業従事者の担い手育成は大きな課題。若い方に農業に関心をもってもらいたい。デザインは大きな要素だし、機能や操作性も当然追求していきたい。『今までがこうだから』という発想で作っていてはダメ。若い人の発想を入れていくことで打開していきたい。」
 かっこよくて使いやすい。そんな農業用機械がニッポンの未来を創っていく。

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過去の取材内容はこちら

3月21日(金・祝)「SBCこどもフェスタ」に昭信スピードスプレヤーが登場します。
こどもフェスタ」は3月21日、長野市トイーゴで開催!

【取材日:2014年02月04日】

企業データ

株式会社ショーシン
長野県須坂市小河原2156 TEL:026-245-1611
http://www.shoshin-ss.co.jp/