[サイプラススペシャル]261 新型のきのこ液体種菌接種機を設計開発 飯田地域の組織や企業と連携

長野県飯田市

三笠エンジニアリング

飯田市で設計開発を手掛ける三笠エンジニアリング。地元の企業およそ100社が参加している飯田ビジネスネットワーク支援センター「NESUC-IIDA(ネスクイイダ)」からの依頼で、新たに開発したのが「エノキタケ液体種菌接種機」。従来の接種機と異なり液体で菌を植え付けることに加えて、小型化とコストダウンを実現したことで中小規模のきのこ農家でも導入が可能となった。

取材後記

超創業以来設計開発のノウハウを蓄積

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昭和49年の創業以来、設備機械の設計開発を手掛けてきた三笠エンジニアリング。創業者でもある伊本政芳社長は、「我が社には長年培った設計開発の経験とノウハウがある。これを生かすことが、自分の信念でもある。」と、開発企業としての位置づけを強調する。その意欲が形になったものが、新たに開発した新型のきのこ液体種菌接種機だ。

飯田地域の共同受注センターが依頼

開発のきっかけは、南信州・飯田産業センターが中心となって組織している飯田ビジネスネットワーク支援センター「NESUC-IIDA」からの依頼だった。小型で低コストのエノキタケ種菌接種機開発を、参加するおよそ100社の企業に打診。唯一名乗りを上げた三笠エンジニアリングが、産業センターの支援や地元の企業や農家の協力を受けて開発に着手。およそ二年半の歳月をかけて完成させた。

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液体で菌を植える

開発の中心となったのは、技術部長の西善仁さん。最大の特徴は、今までなかった液体で菌を植え付ける装置を開発したことだった。液体にすることで「培地」と呼ばれるビンに入ったきのこを培養する物質に、ノズルから均一に接種することが出来るようになった。開発の段階で一番ネックとなったのが、農家によってビンやパレットの種類が違うこと。それら全てに対応する装置を開発することに、最も苦労したという。

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環境性能にも優れた製品

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小型化とコストダウンに成功したことで、中小規模のきのこ農家でも導入が可能となった。また栽培期間が短縮されることで、生産コスの低減につながったほか、省エネや廃棄される培地の削減も実現した。この性能が認められて、飯田市の環境配慮型製品「ぐりいいんだ」の認定も受けた。


地域連携で新たな開発に取り組む

この新製品は、JA全農長野を窓口に販売。きのこ農家が開発に携わったこともあり、評判は上々だという。今回は地元企業の支援や協力を受けて開発したが、次に目指すのは自社オリジナルの新製品の開発だ。「依頼された設計だけでは視野が狭くなる。自分たちで考えて、新しいものを作っていきたい。」と語る伊本社長。設計開発だけでなく、製造も自社で一貫しておこなうものづくり企業だ。

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【取材日:2014年1月27日】

企業データ

有限会社三笠エンジニアリング
長野県飯田市北方136-12 TEL:0265-23-4766
http://www.mikasa-engineering.co.jp