[サイプラススペシャル]284 ソーラー発電で動く水門自動開閉装置を開発 既存設備に設置できる省エネタイプで特許も取得

長野県長野市

伊東産業長野支社

農業用水や生活用水に設置される水門は、ほとんどが手動で開閉するため労力や時間がかかる。また自動開閉の場合も、電源の供給やコスト面などで課題が多い。これらの課題を克服したのが、ソーラー発電した電気を小型バッテリーに充電して水門を自動開閉させる装置「お助け門」だ。開発したのは、通常は大手メーカーの上下水道やポンプ工事を行っている伊東産業㈱長野支社。支社長を中心に独自に開発したもので、特許も取得している。

取材後記

その名も「お助け門」

一見すると、普通のものと同じに見えるこの水門。実は昨年特許を取得した自動開閉装置の付いたものだ。後付で設置出来るため、外見上は通常のものとの違いが分かりづらいが、このBOXの中に創意と工夫を凝らした装置が詰め込まれている。開発したのは、長野市にある伊東産業長野支社だ。

支社長自らが先頭に立って開発

開発の中心になったのは、長野支社長の橋詰薫さん。伊東産業は水道やポンプ工事が本業だが、ものづくりに興味があった橋詰支社長は工事現場で培ったノウハウを活かす道を模索。そんな中ある自治体の土地改良区から水門に設置する自動開閉装置の開発を依頼され、6年前から自社の松代工場を拠点に開発に着手した。

自動感知で人手が不要

現在設置されている水門のほとんどは、手動で開閉されるもの。深夜や早朝などに開閉することに多大な労力がかかるほか、急な災害時には開門する前に水が溢れてしまう危険性があり二次災害を引き起こすケースもある。「お助け門」は設置されたセンサーが一定の水位に達すると自動で開門し、水位が下がると自動で閉門する。人手がかからない安全かつ便利なものだ。


ソーラー電源でバッテリーを駆動

最大の特徴は、電源供給装置。設置されたソーラーパネルによって発電し充電されるため、外部電源の供給が要らないうえに非常時の電源喪失の危険性も少ない。蓄電池も二輪車などに使用される24Vの小型タイプ。最も苦労したのが、省電力で大きな水門を動かす装置を作ること。相談に訪れた団体では「実現不可能」とまで言われたが、スタッフの努力と工夫によって何とか実現に漕ぎ着けた。

新たな装置開発も

「お助け門」は大阪の展示会に出展した際に、周囲から高い評価を得たという。橋詰支社長の当面の目標は「お助け門」を普及させ製造部門を軌道に乗せることだが、その次の開発も視野に入れている。「『お助け門』は設置が簡単で、コストもかからない画期的な装置。生活の中からヒントを見つけて、新たな製品開発を進めていきたい。」という橋詰支社長。本業への取り組みと同時に、製造部門を第二の柱に育てることにも意欲的だ。

【取材日:2014年07月22日】

企業データ

伊東産業株式会社長野支社
長野県長野市小島田町278-1 TEL:026-283-0365