[サイプラススペシャル]287 設計から加工・塗装・組立までを一貫して自社工場で 多品種少ロットの金属加工が得意

長野県長野市

サンケン工業

金属部品加工は、設計から始まって抜き、曲げ、溶接、塗装、組立など様々な工程がある。これらを全て自社工場で一貫して生産できる体制を備えているのが、長野市のサンケン工業だ。最新の設備を揃えると同時に、溶接や仕上げなどは熟練の技を持つ「ものづくりの技術屋集団」が、様々な金属加工部品を生み出している。

取材後記

創業から板金部品の金属加工を

竪岩社長

サンケン工業は1985年創業。現在も社長を勤める竪岩惠行さんが、サラリーマンを辞めて仲間と共に起業した。金属加工会社としては後発だったため、当時はまだ多くなかった建機メーカーからの製作依頼をはじめ、取引先のあらゆる要望に応える努力を続けてきた。その後建機事業の伸びとともに会社も成長。現在では建機部門に止まらず、コンピューター・通信・半導体部門など、多品種少ロットの製品づくりを続けている。


大型の金属加工が得意分野

板金部門全般を手掛けているが、得意分野は建機などに使用される大型部品。これは大型建機用の燃料タンクで、容量は何と1000リットル。またガードファイバーと呼ばれるこの製品は、他社からの依頼で作成しているものの、設計から完成に至るまでを全て自社で行っている。工場内にはこのような大型金属加工部品が、所狭しと並べられている。

一貫して自社工場で

サンケン工業の一番の特徴は、「自社工場での一貫生産」。工場には24時間稼働できるフルオートメーションの大型加工機を備えているほか、抜き・曲げなどの様々な工程に対応する大型機械が装備されている。塗装は千曲市にある八幡工場のラインで行われ、組立から出荷に至るまで自社工場で手掛けている。また加工する金属も、鉄は勿論ステンレス・アルミ・チタンなど多種多様だ。

溶接の技術を伝承

「切削や曲げは機械の性能に因るところ大きいが溶接や仕上げは個人の力量が問われる」という竪岩社長。サンケン工業では最先端の設備を導入すると同時に、様々な金属の溶接に対応できる技能を持った社員が大勢いる。これらの技術を伝承するために、熟練工が新人を養成する工程も設けている。大量生産部品はオートメーション機械やロボットなどがおこなうが、多品種少ロットの加工は職人技に因るところが大きい。

ジャンルを問わない加工で生き残りを

コンピューターや半導体用の小型部品から、建設機械用の大型部品まで、ジャンルを問わない部品製造の一貫生産が可能なサンケン工業。現在は複数の建設機械メーカーの受注が売り上げの半分以上を占めているが、竪岩社長はリーマンショック当時の教訓から、一定の業種や企業に偏らない体質を作ろうとしている。将来は自社ブランドの製造も視野に入れて、更なる生産性と技術の向上を目指す。

【取材日:2014年08月07日】

企業データ

サンケン工業株式会社
長野県長野市篠ノ井岡田538-1 TEL:026-292-7007
http://www.sankenk.jp/