[サイプラススペシャル]293 洗浄・滅菌装置と病理・細胞診装置を開発製造から販売まで 医療機器を千曲市で製造

長野県千曲市

サクラ精機

サクラ精機は医療用の洗浄滅菌装置や病理細胞診装置を「開発」「製造」から「販売」(病理細胞診装置はグループ会社に委ねる)「サービス」までを一貫して自社で行っている。製造拠点となる4つの工場は全て長野県千曲市にある。2005年に製造部門と販売部門を合併し、ひとつの会社として再スタートした。海外展開にも積極的で、更なるグローバル化を目指している。

取材後記

江戸時代から続く歴史ある企業

サクラ精機の創立は1871年だが、そのルーツは江戸幕府の開府まで遡る。江戸時代は薬問屋を営んでいたが、明治維新を機に医療機器の販売にその軸足を移したのが現在の会社のスタートだった。大正に入ると販売だけではなく医療機器の開発・製造もスタート。戦時中にこの製造部門を現在の長野県千曲市に移して以来、今日に至るまで製造拠点は千曲市内に置いている。

病院などで使われる洗浄・滅菌装置

社長の東竜一郎さんは、「医療機器は患者さんを安全に治療するためのもの。安全性の担保が何よりも重要。」と品質管理へのこだわりを見せる。この大きなステンレス製の容器は、病院で使用される医療器具を洗浄・滅菌する装置。サクラ精機はこの分野の中でも特に大型機器では国内で圧倒的なシェアを持ち、サクラブランドの製品が多くの医療機関で活躍している。また医療分野で培った洗浄・滅菌のノウハウを活かして、製薬、食品加工や工業分野へも事業を広げている。

ガンの診断をするための病理細胞診装置

洗浄滅菌装置と並ぶもう一つの柱が、がんの診断をするために人の組織を加工するための「病理細胞診装置」だ。この分野は国内に止まらず、アメリカやヨーロッパ、アジアなど海外の医療機関でも採用されている。

製造と販売の両輪で

サクラ精機は2005年に開発・製造部門の千代田製作所と合併。これによって、開発・製造と販売のシナジー効果をもたらせた。市場にマッチした製品を生み出すために、開発、製造スタッフに医療現場の機器運用を実体験させるなどの取り組みもおこなっている。「医療分野の製造は出口戦略をいかにもつかが大切」という東社長の言葉通り、製造と販売の連携で市場に適したものづくりを行っている。

更なる海外への進出を目指す

今後の目標は、更なるグローバル展開。病理細胞診分野で先行している海外進出を、洗浄滅菌分野でも広げようとしている。ただ医療機器の規格基準は国によって様々で、各国の要求仕様に合わせて基準を満たすことは容易なことではない。近年医療分野への進出やグローバル化を図る長野県内のものづくり企業が増えているが、その先駆け的な存在であるサクラ精機の今後の取り組みに注目したい。

【取材日:2014年09月26日】

企業データ

サクラ精機株式会社長野本社
長野県千曲市大字鋳物師屋75-5 TEL:026-272-8511
http://www.sakurajp.com