[サイプラススペシャル]300 自動三角折機能付ペーパーホルダー「おりふじ」を開発 諏訪地域の産業活性化のために創立

長野県岡谷市

世界最速試作センター

一瞬耳にした際に、強烈な印象を受ける社名。諏訪地域の製造業を中心に、10社が共同出資して10年前に誕生したのが「世界最速試作センター」だ。顧客の依頼を受けた部品を試作して地元の工場で量産しているほか、オリジナルの製品開発もおこなっている。その一環として、今年自動で三角に紙を折るトイレットペーパーホルダー「おりふじ」を開発した。

取材後記

地域のものづくりのために企業が共同出資

世界最速試作センターは2004年、製造部門の海外シフトが加速する中で地元の製造現場を守るべく10社の共同出資でスタート。社名は準備段階で議論されていた「世界最速試作センター構想」から名付けられた。現在社長を務める御子柴仁史さんをはじめ、社員のほとんどが諏訪地域のものづくり企業のOBで構成されている。


自社開発製品「おりふじ」

この世界最速試作センターが開発したのが、この自動三角折機能付トイレットペーパーホルダー。先端が三角になって富士山の山頂のような形状になっていることから「おりふじ」と名付けられた。開発の際最も苦労した点は、紙の硬軟や静電気などへの対応。何種類もある様々なペーパーを使用出来るように設計するためにアイデアが求められ、多くの時間が費やされた。

製造は地元企業に委託

「おりふじ」用に開発された部品やユニットを量産・組立するのは、出資元でもある地元の部品工場。地元で開発した製品を、地元の工場で製造する。これこそが世界最速試作センターの存在意義でもある。プリンターをはじめ自動車部品や医療関係部品など様々な精密部品を量産する諏訪地域の技術の蓄積が、おりふじの製造にも生かされているのだ。

諏訪地域のものづくりをコーディネート

諏訪地域の産業活性化を目的に設立された世界最速試作センターは、「おりふじ」のような開発設計試作および商品化を進めるユニット事業とともに、部品事業でも大きな役割を担っている。全国の製造業が必要とする部品を諏訪地域で試作して、地元の工場で加工製造して依頼先に納めるというコーディネート役が、大きなウエイトを占めている。長年培われてきた諏訪地域の精密加工技術という強みをいかに引き出すかという命題に、常に向き合っている。

更に新たな開発も

「おりふじ」は今年諏訪圏工業メッセに出品。県内外から集まった多くの企業から好評を得た。特に若年層の女性の反応が良く、手応えを感じているという。一時期海外へ流出していたものづくりを国内に呼び戻そうという気運が高まる中、高い技術力を持つ諏訪地域のメリットを活かした「諏訪ブランド」を開発し、世界に発信する取り組みが続く。

【取材日:2014年11月06日】

企業データ

株式会社世界最速試作センター
0266-26-3571
http://suwa-saisoku.jp/