長野県坂城町
日精樹脂工業
日精樹脂工業は、初代社長の青木固さんが戦後間もない昭和22年に故郷の坂城町で創業した。当初はプラスチック加工を行っていたが、収益性を高めるために自社で開発した機械を製造販売することに転換。その中心となったのが、プラスチック加工用の射出成形機だった。自社で開発したこれらのオリジナル製品には、数々の特許技術と工夫が詰め込まれている。
ペレット状のプラスチック樹脂を溶かして、金型に流し込み固める射出成形機。この分野で国内の草分け的な存在が、日精樹脂工業だ。電動式や油圧式など様々なタイプのラインナップを揃えている。コンマ何ミリ単位の微細部品から冷蔵庫や自動車部品などの大型の部品まで様々なプラスチック製品がこの射出成形機から生み出される。
本社の敷地内にある資料館には、創業当時から現在に至るまで日精樹脂工業が開発してきた射出成形機が一堂に展示されている。現在の社長である依田穂積さんが「当社で取得した特許は、1000以上に上ります。」と言う通り、その技術開発が日精樹脂工業を今日まで発展させてきた。現在では当り前となったらせん状の射出装置の構造も、もともとは日精樹脂工業のオリジナルだ。この分野で業界初の12万台の生産販売台数も達成している。
この大型の射出成形機は、お客様が購入前に金型を持ち込んで成形試験を行うため、本社のテクニカルセンターに設置したばかりのトライアル機。油圧ポンプをサーボモーターでコントロールするハイブリッドタイプと呼ばれている。最大の売りがその独自のポンプシステムで、従来のものは常にポンプが駆動し続けるが、この新ポンプシステムは金型を開け閉めしたり、金型にプラスチックを射出したりする時以外は自動的にポンプが停止する仕組みだ。また、一定時間無運転の状態が続くと、自動的にアイドリングをストップする機能も備える。従来製品よりも省エネ性能を格段に向上させた。
日精樹脂工業の製品の活躍は、国内に止まらない。昨年中国で規模を拡張した新工場をはじめ、タイにも製造拠点を持っている。販売拠点も17か国35か所に持っていて、80を越える国や地域でNISSEIブランドが活躍している。世界中の製造現場に自社製品を提供したいという想いが、現在のグローバル企業としての位置づけを確立した。
この社是は創業者の青木固氏の言葉だ。「狭い分野に特化し、そこを深く掘り下げ、その技術を広く展開する。」という意味が込められている。「プラスチック加工からスタートした会社なので、取引先であるメーカーのニーズを理解して製品開発に活かしています」。と語る依田社長。他社とは違うことに挑戦して顧客の幸福を追求するという姿勢は、創業当時から変わることがない。
日精樹脂工業株式会社
長野県埴科郡坂城町南条2110 TEL:0268-81-1000
http://www.nisseijushi.co.jp