[サイプラススペシャル]350 地元の米と水で仕込む手造りの酒 地元だけでなく首都圏にもファンを獲得

長野県佐久市

佐久の花酒造

地元長野県だけでなく、首都圏にも多くの愛好家を持つ銘柄「佐久乃花」。戦時中一時中断した時期もあったが、明治時代から佐久市臼田で造られてきた伝統ある酒蔵だ。地元の酒米「ひとごこち」から作った麹と、佐久平を流れる千曲川の伏流水を地下から汲み上げた水を原料に、昔ながらの手造りの製法にこだわって酒造りに取り組んでいる。

取材後記

杜氏も務めた五代目社長

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現在の社長は、五代目となる髙橋寿知さん。先代の父親が社長だった時代には、専務と杜氏を兼務して経営と製造双方の責任者として先頭に立ってきた。全国の酒蔵から多くのことを学ぶ中で、行き着いた答えが「昔ながらの手をかける酒造りに戻すこと」だった。また自ら醸造と営業を担当したことが、客の求める酒造りには大いに役立ったという。

原料は地元の米

お酒にとって大切なのは、麹の原料となる米。佐久乃花の原料に使われているのは、佐久地方で採れる代表的な酒米「ひとごこち」だ。およそ9割の麹がこのひとごこちから造られていて、契約農家のほか自らの田んぼでも栽培している。味わいが良く出ていて、ふくよかで甘みのあるお酒に仕上がるという。

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昔ながらの手作りで醸造

もう一つの大切な原料となる水は、千曲川の伏流水を地下から汲み上げたもの。やや軟水で、酒造りには非常に適しているという。この水で酒米を蒸し、広げて冷まし、菌と混ぜて麹を造る。それをタンクに仕込んで長期間熟成を待つ。このような昔ながらに手間暇を惜しまずに仕込むため量は限られるが、良質の酒造りには省けない工程だという。

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首都圏にもファンを獲得

地元の良質な米と水を原料に仕込んだ「佐久乃花」の最大の特徴は、きれいな酸味とお米の旨味のバランスが取れていること。その味が評判となり、現在では首都圏にも多くのファンを獲得している。手造りにこだわり真心を込めて仕込んだ酒は、多くの日本酒好きに愛される存在となっている。

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飲んだ人が笑顔になるようなお酒を

人気の銘柄として定着してきたが、手造りで仕込むことを頑なに守り続ける佐久の花酒造。販路拡大よりも現在の品質を維持することを最優先に考えているという。「飲んだ方が笑顔になれるようなお酒を造り続けたい」という髙橋社長の言葉には、自分たちが造ったお酒を愛するお客さんと真摯に向き合おうという姿勢が滲み出ていた。

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【取材日:2015年11月4日】

企業データ

佐久の花酒造株式会社
〒384-0414佐久市下越620 TEL:0267-82-2107
http://www.sakunohana.jp/