[コラム]ものづくりの視点

vol.22サイクロイドって
LLCプロセスフォーカス代表
森本 五百樹

携帯電話のユニークな機構

 携帯電話の進化には、目を見張りますね。携帯にカメラが搭載され、Webも可能になったのは、つい最近かと思っていたら、すでにワンセグと称して、テレビまで見ることができるような時代になりました。またGPS機能も当たり前のようです。

 携帯ショップで、このワンセグ対応の携帯を見ていたら、液晶画面を縦から横にできる、とてもユニークな機構になっている機種があるのに、またびっくりしました。と言っても、数年前からあるのだそうですが、はじめて手に取って試してみると、なかなか面白い、そしてどういう仕掛けなのか不思議にも思います。カタログでは、この機構のことを、特にうたってはいないのですが、「サイクロイド機構」というのだそうです(*)。

 ものづくりというものは、いろいろな要素から成り立っています。たとえば、部品の「かたち」を作るという加工の分野、そうして出来上がった部品を組み合わせて「動きや機能」をつくりだす分野、などなどです。
 携帯に組み込まれた「サイクロイド機構」は、動きを作りだしたユニークなメカニズムと言えるでしょう。ハイテク電子技術のなかに、からくり人形のような仕掛けを組み込んだところが、また憎い気がします。何か動かしていて楽しい、そんな気にさせてくれます。

 サイクロイドというのは、ご承知のように、「円が直線上を、滑らないで転がるとき、その円周上の1点が描く軌跡」です。このワンセグ対応携帯のメカニズムは、その回転中心が円弧を描くことによって、画面の矩形の角が一定直線上を移動できるしくみになっています。したがって、サイクロイド曲線をなしているとは言えないわけで、「サイクロイド機構」(*)と造語したのだと思います。
 受験生の方はくれぐれも間違わないでください。

【掲載日:2008年12月15日】

森本 五百樹

LLCプロセスフォーカス代表
長野市出身 1946年生まれ ㈱東芝、GE東芝タービンコンポーネンツ、北芝電機勤務を経て 2007年 LLCプロセスフォーカス設立し、プロセスアナリシスとビジネスアナリシスをツールに経営改善をコンサルテイング並びにIT支援を行なっている。