vol.38 | 長野県のものづくりの特色は | 財団法人長野県テクノ財団 専務理事 山岸 國耿 |
長野県の製造業を語る時、「機械系4業種」に特化しているとよく言われます。製造業の業種を分類しますと、食料、繊維、木材、土石、・・等と24業種に大別されます。その際、一般機械、電気・情報・電子機械、輸送機械、精密機械の4業種は「機械系4業種(加工組立型産業)」と呼ばれ、長野県の主力である自動車・電気・半導体・精密部品等が入っています。
平成19年の工業統計で、長野県の製造業の生産額などを表す製造品出荷額等は、7兆円余ですがその内 72%をこの機械系4業種で占めており、この割合は全国第1位となっています。ちなみに、全国平均は48%です。
長野県の製造業の特色にはいろいろありますが、この比率は本県の実態を極めて明確に示しており、県内製造業を語る時、よく使われています。
この機械系4業種は、技術はハイテクと呼ばれるものが多く、成長性や輸出比率が高く、海外進出も活発な分野です。戦後県内では自動車や電機部品関係の業種が大きく伸びました。私達の周囲でも大きくなった企業といえば、多くがこの4業種に属する企業でした。
課題は、食料、木材等の内需型の業種と違い、世界的な景気変動にさらされて好不況の振幅が激しいことで、技術的にも諸外国の企業と激しい競争を繰り広げています。近年は、伸びる企業がある半面、中国やインド等の追い上げもあり、経営的に厳しい企業もでてきています。昨年からの大きな景気調整の局面で、長野県の落ち込みが他県に比較し大きいと言われていますが、その一因はこの業種的特色によるものと思われます。
実は、この機械系4業種の構成比率は長野県が全国で一番だ、ということに私が気づいたのは、昭和58年ごろ読んでいたある調査機関の報告書からでした。 当時いろいろな角度から県内製造業の実態を分析していましたので、「このような比率もあったのか」と大変驚きました。最近もこれに関する文書を読み、懐かしく思い出しました。
これら4業種の技術革新や市場変動は、大変激しく目を離せない状況にあります。自動車は、ハイブリット車や電気自動車などへ、電気・精密関係も超精密加工技術等を武器に医療・環境・航空機分野などへと、新しい成長分野への模索が始まっています。
長野県テクノ財団の事業おいては、このような成長分野をテーマとした共同研究開発や先端技術研究会などのかなりの部分が、これら4業種の企業を対象としています。
今後、これら企業の一層の経営力、技術力等の向上を図る為、時宜に適した事業を総力を挙げ実施していきたいと思います。
財団法人長野県テクノ財団 専務理事
昭和19年上田市生まれ。38年間長野県職員として長野県商工部関係機関に勤務。長野県工業試験場長を最後に定年退職。当財団浅間テクノポリス地域センター事務局長を経て、現職に就任。
http://www.tech.or.jp/