編集部より

知らないから出来る

島新精工 

「これ、僕がデザインしたんです」。ケータイをポケットから出してくださいました。

「これは塗装技術なんです」。製造過程は想像もつきませんが、光沢のある濃いブルー、角度によって微妙なグラデ-ションが浮かび上がり、シャープな透明感のある色合いのケータイです。表面は5層に塗装されているとか。色の深みが生きる「技術」です。

仕事を始めて10年、知らないから出来たと島新精工の二村常務のお話です。塗装の専門家には、思いもつかない発想で、業界初の製品を作り上げました。

同じ塗装用機械を使っている会社はいくつもあるのに、島新さんだけがなぜ薄くきれいに早く塗装できるのか、とよく聞かれるそうです。要は、塗装用機械の使い方、もちろんコンピューター制御ですが、常務の開発です。非常に薄い塗りは、塗料の使用量も少なく、コストを抑え、無駄も少なく、環境にもやさしい。ご苦労は笑顔の向こう側です。

こんなに身近に「塗装」技術があることに驚きました。塗装の技術とデザイン、センスが加わり大きな付加価値を生み出す、「ものづくり」の真髄です。デザインを支える技術の力、「塗装」のイメージが変わりました。

毎年6月には、東京ビックサイトで全国ものづくりの展示会が開催されます。今年も単独で出展し、国内だけではなく、海外からのオファも重なったとか。海を越える「塗装」の技術です。

(2008年8月 6日)