駒ヶ根の青空がよく似合う |
乾式遮音二重床は「かんしきしゃおんにじゅうゆか」と読みます。泰成電機工業には工法・仕組みではなく「フロアーシステム」と呼ばれる二重床の技術があります。
「人が住む住宅として、何がいいのか。イメージではなく提供したい」
住宅建設のキーワードは数多くありますが、『床』から最良の住宅を提供する。それが泰成です。
外断熱・遮音性や耐震性に優れている。リサイクル素材を使用する。繰り返しリニューアル可能な床材の提供する。これらの実践によって環境にやさしいフロアー「システム」が出来上がります。シェア国内トップにもかかわらず、社長は「(社名は)知る人が知ればいい、知らない人は知らなくてもいい。」とおっしゃいます。
社名の「電機」は、スピーカメーカーからスタートした会社の歴史を物語ります。「工業」は1銭1円単位の工場が会社の基本、工業から離れたくないという思いが現れています。
「泰成の製品を扱う商社・大工さんが増えれば、製品の製造を担当している会社の雇用が増える。この駒ヶ根がトータルで豊かになる。視察・訪問者が増えればホテル・旅館が潤う。イベントが開催されればお土産が売れる。自分たち単体ではなく3万人がかかわってくる。企業は大きな付加価値を生むポータルサイトでもある」
最近はモンゴルからも引き合いが来ているそうです。
「自分たちの守備をきちんと守る」青空が似合う町、駒ヶ根の地に根をはるものづくりです。
社長の明るい人柄は会社全体に行きわたっています。
縁の下はこんなふうになっています。
(2008年7月24日)
育てる、人も緑も、技術も会社も |
10年続く東御市の「花いっぱい運動」で1位5回、2位5回の実績、コトヒラ工業です。構内に植えられた色とりどりの花々が、夏の日差しの中、道行く人を楽しませてくれていました。
「地元の女性達には感謝しています」
手塚社長の一言にメモをとる手が止まりました。
「地元の女性と結婚して、この地に定着した若い人が何人もいる。彼らの技術を磨き一流の技術者に育てていく」
「製造業は技術、いい技術者を取らないと会社は大きくならない」
会社を支えるのはやはり「人」。優秀な人材確保のために、独身寮や高級社宅も用意されているとか。
「やる気がある学生をしこむ。育てるには時間がかかりますよ」楽しそうに話していただきました。
大量生産のユニットバスといっても、色や柄、窓枠や蛇口の位置など、1日1000室作っても3つとして同じ製品はなく、いわばオーダーメイドなんだそうです。にもかかわらず、このオーダーメイドを量産品と同じコスト、同じスピードで生産する技術。
「この技術は誰にも真似できない」
新分野への積極的な挑戦を可能にする技です。加えて「商農工バランスの取れた発展を」という東御市を支えている誇りがあります。税金を納め、従業員の生活を保障する、さらに経常利益の2%は、社会貢献に使うという経営方針、製品への信頼と地域からの信頼、本社入り口のヒマラヤスギとともに大きく育っています。
豊かな緑の中、ご案内いただいた手塚会長
広い敷地内に平屋の工場が並んでいます。心地よいバランスがとれた配置です。
(2008年7月24日)
社内のどこにも社長の「気」がいきわたっていました |
「発條」という社名と高精度のバネ製品、ブルドックのマーク。意外な取り合わせに興味を引かれ階段を上ると、「こんにちは」というはつらつとした声が、むかい入れてくださいました。
社長の「ものを作ることは全人格が要求される」と信念に満ちたことばには力がありました。
「技術には社会人としての蓄積が必要。自由な発想がシステム的に生きていくのは製造業。しかも可能性やチャンスは中小企業の方が多い」
明るく落ち着いた雰囲気は5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)が実践されていることの証。今はそこに2つのS(セキュリティ・セイフティ)も加わるのだそうです。もの作りを通して「全人教育をやっている」懐の深さがミクロ発條の強さです。
上海と大連の工場進出は、コストではなく世界の需要を実際に肌で感じたいから。ボールペンの書きやすさはバネの進化を身近に感じさせてくれますが、バネの加工技術は電子機器・医療機器にとさまざまな分野へ広がっています。
絹糸のような美しい形状のバネは大きく羽ばたく無限の可能性を秘めています。
いろいろな表情のマーク「自由な発想」はこんなところにも。
最終の製品チェックです。みつめる先には世界があります。
(2008年7月24日)