長野県中野市
アズビル太信
アズビル太信は、建物市場で国内トップシェアを持つビルディングオートメーションや工業市場でのアドバンスオートメーションを展開するアズビルグループ(旧山武グループ)の製造部門の一翼を担う企業。この4月にグループの名称である「アズビル」を冠した社名に変更したばかりだ。自社製のプリント基板をもとに、室温を一定に保つことが必要な液晶パネルや半導体製造現場に使われる温度制御機器などを製造している。
「そもそものスタートはコンピュータの端末であるキーボード製造です。」と語るのは、社長の小林勇生氏(70歳)。アズビル太信は小林さんが現在も社長を務める中野プラステック工業と取引があった山武(現在のアズビル)からの依頼を受けて、昭和49年に小林社長と山武との合弁企業としてスタートした。
コンピュータのキーボード製造からスタートしたが、そこからプリント基板の実装部門に進出。取引先のアズビルがビルなどの空調設備や工場やプラントの計測制御を得意としてきたことから、自社で製造したプリント基板をもとに、液晶パネルや半導体の製造現場に使われる温度制御器や、気体や液体の使用量を管理する流量計測器を製造するようになった。
アズビルグループの企業理念は、「人を中心としたオートメーション」で、人々の「安心・快適・達成感」を実現するとともに、地球環境に貢献すること。
そのグループ企業であるアズビル太信にも、その企業理念は深く根付いている。温度制御器のほかに、大型ボイラーを制御するFSG(燃焼安全制御装置)という機器も製造している。東京に本社を置き、国内外に従業員約10,000名が働くアズビルグループ。アズビル太信はその日本国内における生産拠点のひとつとして、グループ内でも重要な位置を占めている。
アズビル太信では、温度制御器などの電子機器の心臓部となるプリント基板の実装・組立・検査も全て自社で行なっている。大量生産も可能だが、数枚単位からの発注にも対応している。汎用部分や大量生産品は機械で作業し、取引先の仕様に合わせて変える部分は手作業でおこなうという方式をとっている。手作業での組立工程では、スタッフがLEDランプの点灯に合わせて回路の埋め込み作業をしていた。
自社で製造されたプリント基板をもとに、温度制御器などの電子機器が製造されていく。この作業はほとんどが手作業で、しかも少ないものは1個からの受注にも対応している。一口に温度制御器と言っても、取引先の条件によって仕様は異なる。細かく分けられた仕様に合わせて、手作業でひとつひとつ製品が組み立てられていく。
組み立ててから梱包出荷する前に、動作確認などの様々なテストが行なわれる。不良品を出さないための大切な工程だ。工場では組み立てラインと検査ラインが併設されていて、このラインではおよそ10名のスタッフが手作業で組立と検査を黙々とおこなっている。最終的に手作業で仕上げることで少量多品種製造を可能とし、取引先のニーズに対応している。
少量多品種生産において大切なのは、組合せを間違えることなく組み立てること。アズビル太信では、アズビルグループが創業以来一世紀以上に渡って蓄積したノウハウを生かして、不良品を出さないためのものづくり技術を製造現場に生かしている。小林社長は「不良品を出さないことを常に心がけている。難しいけれどやりがいがある。」と語る。
昨年の大災害以降、電力やCO2削減など省エネへの取り組みが全国的に高まっている。アズビル太信が製造している温度制御器は、このニーズに対応する製品として注目されている。現在アズビルグループでは、ビルの空調だけではなく建物全体の管理運営を一括で受注する方針を明確に打ち出している。そのようなニーズに対応するべく、本社との共同開発を積極的に行なうことによって、先の先を見据えた製品を生み出す努力を続けている。
社名変更を機にアズビル太信が目指しているのが、グループ内での存在感を高めること。「社員ひとりひとりがモチュベーションを高めることが、本人のため、ひいては地域のため、社会のためになっていく。これを目標として、社会に必要な製品を世の中に出して生きたい。」と小林社長は語る。グループの理念を追求することが、地域社会への貢献につながるという確固たる理念を持つものづくり企業だ。
アズビル太信株式会社
長野県中野市大字中野200-7 TEL:0269-26-3320
http://ats.azbil.com/index.html