[サイプラススペシャル]220 昔ながらの手作りに拘る酒造り 日本酒をベースに新たな分野にも挑戦

長野県佐久市

橘倉酒造

佐久市臼田で、江戸時代から300年以上の歴史を刻む橘倉酒造。地元佐久平で収穫された米と酒蔵の井戸から汲み上げる地下水で作る酒は、地元を中心に愛され続けている。手作りに拘る酒造りがモットーで、近年は日本酒以外にも麹を活用した甘酒や塩麹づくりなどにも領域を広げている。

取材後記

300年続く手作りの酒仕込み

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「酒造りは自然の賜物という考え方を大事にしていきたい」と語るのは、社長の井出民生氏(66歳)。創業は江戸時代の元禄年間で、300年以上この臼田の地で酒造りを続けてきた。昔ながらの手作りに拘る酒蔵で、杜氏の畑さんをはじめ蔵人たちが早朝から丹念に酒仕込みに励んでいる。


汲み上げた井戸水を使用

酒造りの原料は米と水。これに発酵や熟成を経て日本酒が出来上がる。橘倉酒造で作られるほとんどの酒が、地元佐久平で採れた米を原料に使用している。仕込みに使われる水は、酒蔵の井戸から汲み上げたものだ。「本菊泉」や「菊秀」などの銘柄で、地域の恵みで作られ地元で親しまれる、まさに「地酒」そのものだ。

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酒造りの伝統を生かした新製品

日本酒の消費量が年々減少する中で、新たな分野の開拓にも挑戦している。酒仕込みに使う麹を使った塩麹やしょうゆ麹をはじめ、井戸から汲み上げた仕込み水と麹だけで作った甘酒も順調に売り上げを伸ばしている。この甘酒を使って地元の洋菓子店とコラボレーションした、マカロンなどのスイーツも評判は上々だ。

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地元ホテルとの連携

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この日酒蔵に訪れたのは、軽井沢の有名ホテル「星のや」のスタッフ。一本一本丁寧に瓶詰されているのは、橘倉酒造の酒蔵で共に作った星のや限定のオリジナル酒だ。先程紹介した橘倉酒造の井戸水は、星のやで宿泊客に提供される料理にも使われている。料理人にも認められる質の高い水で作るからこそ、良い酒が出来るのだろう。


地域の酒蔵でタッグを組んで

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「地域全体で日本酒を盛り上げていきたい」と語るのは、取締役の井出平さん。地元佐久地域の酒蔵13社の後継者で組織した「若葉会」で、米作りから仕込みまでを共同でおこなうプロジェクトを立ち上げた。この秋収穫した酒米で仕込んだお酒が、来年春には出来上がる予定で、完成が今から楽しみだ。

【取材日:2013年3月27日】

企業データ

橘倉酒造株式会社
長野県佐久市臼田653-2
http://www.kitsukura.co.jp/