[サイプラススペシャル]224 次世代向けのSiCを適用した半導体製品を開発し省エネ性能を更に向上 IGBTパワー半導体を製造

長野県松本市

富士電機松本工場

松本市にある富士電機松本工場では、パワー半導体と呼ばれる製品を製造している。現在はIGBTと呼ばれる製品が主力で、産業・情報機器やハイブリッドカーなどの自動車、風力・太陽光発電などの新エネルギー分野で活用されている。新たにSⅰC(炭化ケイ素)を材料としたチップを開発して、より省エネ性能の高い半導体を量産するための製造ラインを立ち上げる予定だ。

取材後記

パワー半導体の製造に特化

fujielectric03.jpg

富士電機は、社会・産業インフラ設備に関わる様々な機器・システムを製造する、国内屈指の電機メーカー。世界シェア約40%を誇る地熱発電から、身近な製品では飲料などの自動販売機やスーパー・コンビニの冷蔵・冷凍ショーケースなどでも知られている。松本市にある松本工場では、15万㎡という広大な敷地の中でパワー半導体と呼ばれる製品を製造している。現在はグループ売上高全体の約1割を占めていて、今後の成長が期待されている。


電力を動力に変える半導体

「我々の作るパワー半導体は、一般に知られているメモリータイプの半導体とは全く違うものです。」と語るのは、工場長の安部浩司さん(52歳)。パワー半導体とは、電気を直流から交流に変えることで「電力」を「動力」に変化させ、大型機械の動きをコントロールする部品だ。主な用途はインバーターや産業用ロボット装置をはじめ、エレベーターやハイブリッドカーなどにも搭載されている。

fujielectric04.jpg

クリーンルームで作られる半導体チップ

パワー半導体の心臓部となるチップは、ホコリやチリが混入しないよう厳重に管理されたクリーンルームで製造される。24時間操業で、防塵服に身を包んだ社員たちが交替で働いている。チップへの焼き付けは、写真のネガを現像する工程に近いという。富士電機では海外事業の拡大を進めているが、このような精密加工や次世代の技術開発は一貫して国内のマザー工場で行われている。

fujielectric05.jpg

電力も自社で賄う

fujielectric06.jpg

工場の安定した操業を目指す観点から、松本工場では電源の供給も自社で行っている。コージェネレーションと呼ばれる電源供給装置が工場の敷地内に3か所あり、電力全体の約9割を賄っている。省エネを目的としていることもそうだが、災害などの緊急時にも操業出来るという点も大きなメリットだ。


更なる省エネ性能の向上を

fujielectric07.jpg

パワー半導体の新製品開発もおこなっている富士電機。現在、省エネが要求される様々な分野に向けて、SⅰC(炭化ケイ素)を材料とした半導体製品の開発に取り組んでいる。これを使用することによって、省エネ性能が大幅に向上するという。松本工場では、今年10月からSiC専用の新たな製造ラインを立ち上げる予定で、パワー半導体による更なる省エネ化が期待されている。


fujielectric08.jpg

【取材日:2013年5月13日】

企業データ

富士電機工業株式会社 松本工場
長野県松本市筑摩4丁目18番1号 
http://www.fujielectric.co.jp/recruit/graduates/bases/matsumoto.html