[サイプラススペシャル]226 世界初のGPSソーラー時計を開発 世界初のGPSソーラー時計を開発

長野県塩尻市

セイコーエプソン ウオッチ事業部

セイコーエプソンがセイコーグループと共同開発した「アストロン」が、昨年9月に発売された。4つの衛星からの電波を感知することによって、39ヶ所のタイムゾーンにフル対応する世界初のGPSソーラー時計だ。世界中どこでも正確な現地時間が表示されるため、グローバルに活躍するビジネスマンやアスリートなどに好評だ。この開発の中心となったのが、塩尻市にあるウオッチ事業部。クオーツ腕時計の第一号として1969年に発売された、初代アストロンと同じ名前を冠する力作だ。

取材後記

キーワードは『省・小・精』

新製品アストロンはセイコーエプソンの長年培った腕時計製造技術に加えて、グループの半導体技術やGPS機能のノウハウなど総力を結集して出来上がったものだ。セイコーエプソンの時計づくりには、「省」(省エネ)「小」(小型化)「精」(精密加工)という3つの企業理念があり、アストロンはまさにそれらを具現化したものと言える。

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新たな価値を加えた時計

「時計の4つの価値は、『正確』『止まらない』『見やすい』『美しい』。これに『どこでも正確』という新たな価値を加えたのがアストロンです。」と語るのは、ウオッチ事業部長の内藤高弘さん。入社以来長年腕時計製造に携わってきた、開発プロジェクトのリーダーだ。開発スケジュールが予定よりも前倒しとなり技術的に乗り越えなければならないハードルも高かったというが、無事完成した時は本当に嬉しかったという。

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美しい時計を作るための努力

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開発デザイン担当者の仲西暢彦さんは「『普通の時計』に見えるようにすることが大変だった」と開発当時の苦労を振り返る。新しく開発されたデバイスをはじめ多くの精密部品が搭載されているアストロンは、ともすれば相当な容量になってしまう。アナログ式の美しい時計のデザインを守るために開発されたのが、このリングアンテナ。文字盤に埋め込まれたこのアンテナによって、伝統と革新が融合された美しいアナログ時計のデザインが保たれている。

「匠の技」が支える時計づくり

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ウオッチ事業部では、多くの熟練技工士が日々時計作りに取り組んでいる。アストロンをはじめとするセイコーブランドの高級腕時計の心臓部は、ほとんどがこの工場で製造されている。一つ一つの部品を丁寧に組み立てていく工程は、セイコーエプソンの時計作りの歴史を感じさせる。工場というよりは、「工房」という表現がぴったりの現場だ。

ものづくりのDNAを継承し続ける

高度なGPS機能を省電力で駆動させることで、ソーラー電源だけで動かすことが可能となった夢の時計「アストロン」。ウオッチ事業部の今後の目標は、より小型化された新型アストロンの開発。培った技術力とノウハウで、「セイコーエプソンにしか出来ないものづくり」は、更なる高みを目指す。

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セイコーエプソン 以前の取材記事はこちら>>

【取材日:2013年5月10日】

企業データ

セイコーエプソン株式会社 ウオッチ事業部
長野県塩尻市塩尻町390 TEL:0263-52-0620
http://www.seiko-watch.co.jp/astron/special/