長野県岡谷市
牛越製作所
牛越製作所は昭和55年金型製造会社として創業。現在はロボット関係の部品や切削部品が主力製品だ。取引先から受注されたものを製作する一方で、自ら開発し試作した製品を提案することで「次元を超えたものづくりへの矜持」を持ち続ける企業だ。
「取引先の研究開発担当者に『牛越に頼めば何とかなる』というポジションにいたい」と語るのは、社長の牛越弘彰氏。ものづくり企業の集積地である諏訪地域で、なくてはならない存在になることが目標だという。切削加工部品を設計から加工・組立までを一貫して行い、かつ短納期に対応できることがセールスポイントだ。
主力製品は半導体検査装置の治具や部品や、圧力や速度を感知するセンサーの関連部品。現在最先端の遺伝子研究やIPS細胞の研究に使われる製品にも、牛越製作所の部品が使われている。いずれも精密加工の必要な、多品種少ロットの製品だ。ただ注文や依頼を受けたものを作るだけではなく、自社の部品やノウハウを活かした新製品の試作・研究にも積極的なのが会社の最大の特徴だ。
このアーム型ロボットは、ものづくり推進機構主催の展示会用に試作開発したもの。電動式のロボットは珍しくないが、これは空気の圧力で動くエアーロボット。部品から組立まで、全て会社の研究室で作られたものだ。エアーボンベを内蔵していてどこにでも持ち出せるので、電源が供給できない場所でも使用できる。大手の取引先にも検討してもらっていて、様々な課題がクリアされれば、実用化も夢ではないという。
現在取り組んでいるもう一つの研究開発が、「Au-Cu系金属ガラス」。現在東北大学と長野県工業技術総合センターとの共同研究で、実用化に向けて準備を進めている。100度前後で柔らかくなって急冷するとステンレスの硬さに固まるほか、ナノ単位の加工が可能だ。耐食性が良いこともあり、医療分野での活用が期待されている。
経営理念は「斬新な直感」「驚嘆の技」「次元を超えたものづくりへの矜持」。これは創業者である牛越社長の父親の精神を表したものだという。ITバブルが崩壊して売り上げが落ち込んだ際、「先代ならどうしただろうか」と考え抜いた末に行き着いた答えがこの言葉だった。現在社員一同がこの理念に一歩でも近づくべく、製造現場や研究開発室で汗を流している。
株式会社牛越製作所
岡谷市田中町2-8-11 TEL:0266-22-1037
http://ushikoshi.co.jp/