[サイプラススペシャル]237 水を冷却し循環させる画期的な枕を開発 社長自身の介護体験から生まれた新製品

長野県諏訪市

ライト光機製作所

ライフルスコープやバードウォッチングスコープの世界的メーカーであるライト光機製作所が、全く新しい製品を開発した。「ココミン」と名付けられた循環式水枕で、水を一定の温度に冷却し循環させることで頭部を安定的に冷やす仕組みだ。当初は病院などの介護用に開発されたが、快眠にも役立つと評判を得て一般ユーザーにも販売し好評を得ている。

取材後記

開発のきっかけは父親の介護体験

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岩波雅富社長がこの製品の開発を思い立ったのは7年前。先代社長である父親が脳出血で倒れて入院した際の介護体験がきっかけだった。体温調節が出来なくなり40度以上の高熱が続く中、氷枕をあててもすぐに氷が溶けてしまうため頻繁に枕を取り換えていた。「取り換えが要らない冷却枕があれば病院や介護現場の負担が減らせる」と考えた社長は、循環式冷却水枕の開発をスタートさせた。


まさに「ゼロ」からの開発

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開発を始めたものの、主力製品であるライフルスコープや双眼鏡とは全く関連性がないため、何もかもが初めての経験。技術的にクリアしなければならない課題が数多くあった。様々な部品を調達してサンプル品を完成させたものの、コストがかかり過ぎるため一から開発をやり直したこともあった。また循環させる水が腐敗しないようにするため、水を循環させる際の殺菌処理システムを作り上げることにも苦労したという。


水を循環させ一定の温度に保つ

最大の特徴は、水を循環させることによって一定の温度を維持できること。温度も1℃単位で設定でき、長時間冷却できる。エアコンや冷蔵庫などは冷却する際に触媒を使用するが、この製品に使用されているのは「ペルチェ素子」と呼ばれる素材。この素材の採用によって、効率的な熱交換が可能になったという。消費電力も1日8時間の使用で約8円と、省エネ性も兼ね備えている。

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内蔵部品も「メイド・イン・ナガノ」

この新製品「ココミン」は、20社におよぶ県内企業から部品供給などの協力を受けて製造している。県内各地から集められた部品を自社工場で組み立て、検査を経て出荷される。「諏訪地域をはじめ長野県には様々な技術が集積している。その層の厚さが、この製品開発を実現させてくれた。」と語る岩波社長。まさに地元のものづくり企業の英知が結集した製品だ。

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更なる発展で市場を開拓

当初は医療や介護現場での使用を想定していたが、頭を冷やすことが熟睡を促進するため「快眠グッズ」としての活用も広がりそうだ。既に一般ユーザーにも販売していて、一人一台使用している家族もいるそうだ。今後は人間だけでなくペットなどの動物にも転用出来るよう改良を進めるほか、冷却だけでなく温暖機能も兼ね備えた製品も開発中だ。新たな領域や分野を切り拓く注目の製品が、また諏訪地域から生み出された。

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過去の取材内容はこちらをご覧ください https://saiplus.jp/special/2008/11/13.php

【取材日:2013年08月07日】

企業データ

株式会社 ライト光機製作所
長野県諏訪市大字中洲3637 TEL:0266-52-3600
http://www.light-op.co.jp/