[サイプラススペシャル]238 自社ブランドの切削工具を新たな事業の柱に 一眼レフカメラレンズなどの光学部品を製造

長野県塩尻市

東陽

光学部品メーカーが集積する塩尻で、創業以来カメラ部品製造を柱に歩んできた東陽。主に一眼レフカメラレンズの筒状のアルミ部品を手掛けていて、その内径加工が最大の得意分野だ。これらのノウハウを活かして数年前から始めたのが、加工に使用する切削工具の製造。半世紀に渡って積み重ねてきた技術力が生み出した、自社ブランド製品だ。

取材後記

光学機器部品製造で半世紀を歩む

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「業界No.1の品質のものを作りたい」と語るのは、社長の吉江慎太郎氏。東陽は1960年に吉江社長の父親が創業して以来、半世紀以上に渡って光学部品を作り続けてきた。現在は高級一眼レフカメラのレンズをはじめ、プロジェクターや監視カメラなどの部品も製造している。様々なメーカーや機種に対応した多品種少ロットの生産をベースに、高品質の製品を生み出すことに妥協を許さない。


アルミの内径加工に特化

製造の大半を占めているのが、一眼レフのカメラレンズに使用される筒状のアルミ部品。東陽はこの内径加工分野に特化していて、溝を切るなど高精度の切削加工を得意としている。他の金属と比べて柔らかいアルミ加工には変形がつきものだが、これを最小限に止めることが生命線。この高精度の加工を行うために新たに取り組み始めたのが、切削加工に使用される工具の自社製造だ。

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自社ブランドの切削工具

社名を冠して「ToYo TooL」と名付けられたこの製品。4年前から開発チームを立ち上げて、切削工具を自社で設計・開発するところからスタートした。バイトと呼ばれる切削工具は刃先に人工ダイヤモンドを埋め込んでいて、高精度の切削を可能にしている。現在は自社工場での使用は勿論、社外との取引も増えているという。

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部品メーカーだからこそ出来る製品

特徴は、市販品にはない特殊な形状のものが多いこと。取引先から情報を得ることで、更により良い製品に改良を進めている。以前は他社から購入していた切削工具だが、自社で製造することで製造部品の短納期化やコストダウンも実現した。自社製品の品質向上も視野に入れて始めた部門だが、社外からも「東陽だから出来る仕事だ」と高い評価を得ている。

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「三本柱」の構築にチャレンジ

切削工具と同様に近年力を入れているのが、医療機器部品の製造。半世紀に渡り光学機器部品製造で培った技術力を生かして、更に新たな分野への挑戦を始めている。「チャレンジするという言葉が好き。常に新しいものにチャレンジする姿勢を持ち続けたい。」と意欲を語る吉江社長。切削工具と医療機器を、光学機器と並ぶ事業の柱とするべく、社員一丸となって挑戦を続けている。

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【取材日:2013年08月08日】

企業データ

株式会社 東陽
塩尻市広丘郷原1000-5 TEL:0263-52-2451
http://www.toyo.vc