[サイプラススペシャル]239 人の暮らしに関わる事業にも積極的に進出 産業・医療用ガス安定供給の一翼を担う

長野県松本市

しなのエア・ウォーター

身近ではないが、ものづくりの現場に必要不可欠な産業ガス。このガス製造の大手であるエア・ウォーターグループの長野県内の拠点となっているのが、しなのエア・ウォーターだ。エア・ウォーターグループは産業・医療用ガス製造が事業の中心だが、近年新たに飲料水や介護などの分野にもチャレンジしている。地域のグループ企業と共に、人の暮らしに関わる事業を育成するべく取り組みを進めている。

取材後記

県内グループ企業の中核を担う

エア・ウォーターは、全国で約1万2千人が働く企業グループ。製造現場で幅広く活用されている、酸素ガスや窒素ガスなどの産業ガスや医療用ガスを製造している。長野県内にも14の事業があるが、その中心となっているのが平成6年に松本市梓川に設立した「しなのエア・ウォーター」。この地を信州の拠点に選んだのは、エア・ウォーターグループの現会長である青木弘氏の出身地であったことと、自然豊かな環境が決め手だったという。

awi-04.jpg

様々なガスを供給

産業ガスは、製鉄や造船に使われる酸素ガス、化学メーカーの防爆用に使われる窒素ガス、溶接のシールドガスとして使われるアルゴンガス、食品添加用や溶接用に使われる炭酸ガスなど、その種類と用途は様々だ。しなのエア・ウォーターは、これらのガスをボンベに詰めて供給しているほか、在宅医療に使用される酸素濃縮機も製造している。

awi-05.jpg

「松本モデル」と呼ばれる取り組みを実践

awi-06.jpg

「今までは一般の方には馴染みがなかったが、これからはグループ企業全体で様々な事業を展開していきたい。」と語るのは、社長の高橋稔氏。今まで一般ユーザーとの接点は在宅医療器具など数えるほどしかなかったが、現在は農業・食品・飲料・介護福祉などを新たな事業として育成している。これらを「松本モデル」として、地元のグループ企業と協力して全国に発信していく計画を進めている。

一般ユーザー向けの製品も

awi-07.jpg

一般向けの商品として現在力を入れているのが、このウォーターサーバー。大町市にあるAW・ウォーター事業部が中心となって開発したもので、使用している水は北アルプスの伏流水。天然水を非加熱で使用しているため、ミネラル成分を豊富に含んでいる。地元のサッカーチームのサポーターになることで、より知名度を上げようという取り組みも同時に行っている。


会社の知名度アップを

産業分野で長年取り組んできたために、まだまだ十分な認知度は得られていないしなのエア・ウォーター。一般ユーザーへの更なる社名の浸透が、新事業発展に向けての今後の課題だ。「知名度はまだまだ低いが、いずれは長野県の誰もが知っている会社にしたい。」と抱負を語る高橋社長。産業界の縁の下の力持ちの役割を担いつつ、人の暮らしに直接関わる事業にも活躍の場を広げようとしている。

awi-08.jpg

【取材日:2013年8月28日】

企業データ

株式会社しなのエア・ウォーター
長野県松本市梓川倭3878-1 TEL:0263-78-5700
http://www.awi.co.jp/company/group/regional/regional_05.html