[サイプラススペシャル]255 県内ものづくり企業と無線スイッチを開発 長野県の優れた技術を連携で生かす

長野県茅野市

サイミックス

サイミックスは、2012年創業のベンチャー企業。コア技術はセンサーに使われる半導体技術を生かしたものづくりだ。工場や製造拠点を持たないファブレス企業だが、県内のものづくり企業とのネットワークを構築することで半導体やセンサー技術を応用した無線スイッチを開発した。

取材後記

半導体技術を生かすために立ち上げ

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サイミックスは、吉川久男社長が会社の同僚と3名で立ち上げた。以前勤めていた会社で人などを感知するセンサーに使われる半導体を製造していたが、それらのシステムを生かしたビジネスモデルを作るために独立して起業した。IC(半導体集積回路)の製造をはじめ、メグスと呼ばれる技術を使ってものをより小さく薄く作る技術を追究している。


新開発の無線スイッチ

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新たに開発したのが、この無線スイッチ。スイッチを押す力で発電し、その電力で回路作動する仕組みになっている。電気ではなく電波を使うため、壁を通り抜けて目に見えないところからも操作が出来る。またスイッチやライトには個々に番号が入っているので、一個のスイッチで複数のライトを点灯させたり、一個のライトを複数のスイッチでコントロールすることも可能だ。これらの動きは、全てタブレット画面で確認できる。


ファブレスの利点を生かしたものづくり

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この無線スイッチの製造は、県内企業5社と共同で開発製造された。サイミックスは開発の中心となっているが、部品製造や組立などは県内のものづくり企業に委託している。「長野県には優れたものづくり企業が多い。これらの企業の設備や経験を生かすことで、早く・安く・良いものが製造できる。」と語る吉川社長。ファブレス企業と呼ばれる製造設備を持たない企業だが、長野県の高い技術力をものづくりに生かしているのが最大の特徴だ。


ものづくり企業のまとめ役に

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サイミックスが連携しているのは、精密機器関連の企業が集積する諏訪地域をはじめとする長野県内のものづくり企業。それぞれの地域の特性をうまくまとめることが、開発の生命線だ。『何を作るか』『どこに売るのか』ということを発想し、これらをトータルで連携する企業と一緒になって考えていく。まさにまとめ役としての重要な役割を担っているのだ。


センサーで社会に貢献

今後加速するであろう高齢化や少子化などの社会的な課題に向けて、センサー技術の開発を進める新たな取り組みも始めている。現在開発を進めている「IT農業システム」は、これらのコア技術を生かして様々な環境を保つことで生産を安定させるものだ。「センサーをインフラに役立てることで、社会に貢献していきたい。」と語る吉川社長。長野県のものづくりの技術力の高さを生かすネットワーク構築で、今後の更なる発展を目指している。

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【取材日:2013年12月12日】

企業データ

サイミックス株式会社
長野県茅野市ちの3443-7 TEL:0266-82-7510
http://www.simics.co.jp/