[サイプラススペシャル]259 地元企業が開発した製品を完成まで受託生産 特定メーカーのカメラ製造から転換

長野県松本市

シナノカメラ工業

シナノカメラ工業は社名の通り以前は大手カメラメーカーの組立工場として、累計650万台のカメラを生産した実績を持つ。カメラ製造の海外シフトに伴い、様々な小型電子機器の受託生産に転換して今日に至っている。基板設計から組立・発送まで一貫して自社で出来ることが強みだ。

取材後記

カメラ生産は累計650万台

シナノカメラ工業は1974年の創業で、今年で40周年を迎えた。創業以来社名でもあるカメラ製造を主力に歩み、その生産台数は累計650万台にもおよぶ。しかし90年代半ばになるとカメラ生産は徐々に海外にシフトし、国内生産が減少。この転換期に会社が選択したのが、カメラ製造のノウハウを活かした委託生産だった。

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開発メーカーの生産を受託

「取引先の信頼を得るために、品質管理には特に重点を置いている。」と語るのは、3代目社長の河西秀一さん。現在は自動車関連の無線機器をはじめ、タイムレコーダーや情報機器・医療機器などを製造している。自社ブランドは持たないが、我々の身の回りで活躍する小型精密機器が、この工場で組み立てられ市場に送り出される。


基盤設計から実装・組立までを一貫して

大きな特徴は、部品の調達から実装・組立・梱包・検査・出荷に至るまで、全てを自社工場で行っていることだ。長年のカメラ製造の経験を生かすとともに、ベテラン社員の雇用延長などによる技術の伝承も怠らない。また設計・開発段階から3Dプリンターを活用した試作を行うなどして、何でも形に出来る受託生産を目指している。

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地域の開発メーカーの「工場」となる

シナノカメラ工業の取引先は、ほとんどが地元の中信地域に拠点を置く企業。お互いの距離が近いことでコミュニケーションも取れるため、地域に根差したものづくりが実現出来るというわけだ。自社で開発した製品の生産を社外に委託するメーカーにとって、シナノカメラ工業はまさに「社外にある自社工場」なのだ。

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品質へのこだわりで海外に負けない

取引先のカメラメーカーが海外生産にシフトする中で、生き残るために受託生産という道を選択したシナノカメラ工業。河西社長は、「海外に勝つためには、メイドインジャパンの品質とスピードが命。早く良いものを作ることでは海外に負けない。」と、地元での生き残りを賭ける。オールラウンドEMSメーカーとして、地元企業になくてはならない存在となっている。

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【取材日:2014年01月22日】

企業データ

シナノカメラ工業株式会社
長野県松本市寿北3-7-24 TEL:0263-58-2360
http://www.sinakame.co.jp