[サイプラススペシャル]273 Tシャツも音楽も「世界へ発信!」 オリジナルTシャツをネットで販売

長野県伊那市

問屋街

信州伊那でつくり、日本中で販売
オーダーメイドデザインのオリジナルTシャツ

 パソコン検索で「問屋街」と入力すると、上位に表示されるのが「無地Tシャツの激安販売は問屋街まで」のサイト。伊那市に本社を構える問屋街は、無地のTシャツやオリジナルTシャツを作成しネット上で販売する会社だ。
 文化祭やイベントなどで重宝するオーダーメイドデザインのTシャツを、ネットでカンタンに注文し、しかも安価でつくれるとあって人気を博している。信州伊那でつくり、日本中で販売する、まさにネット社会のものづくり成功例をご紹介する。
 驚くべきはこの会社、「世界に発信」しているのはTシャツだけではない。

ネットを活用し全国展開

Tシャツだけで1000種類以上!しかも1000円以下!!

 伊那駅前の商店街の一角に立つ、5階建てのビルが問屋街の本社だ。パソコンが並ぶ2階のオフィスでは、5人の女性社員たちが電話やメール対応に追われていた。
 「こちらには全国から注文が集まってまいります。その注文をもとにデザインを作っておりまして、こちらでプリントが回ってきます。」とデザイン担当する小田原多恵子さん。

 Tシャツの問屋街の最大の特長は、ネット注文。全国から注文をうけ、全国に発送している。人気の秘密の一つは、アイテム数と価格だ。「問屋街」の名前のとおり、Tシャツだけで1000種類以上を取り扱う。さらにポロシャツやブルソンなども含めると5000種類から自分のつくりたい洋服にプリントすることが可能だ。注文枚数にもよるが、価格もオーダーメイドデザインのTシャツを1000円程度でつくることができる。

売上15億円!10年で30倍に!!

 なぜ、これだけのアイテム数をそろえ、しかも安価で展開できるのだろうか?そのカギを握るのがインターネットだ。
 代表取締役CEOの永井光洋さんは、「大量に仕入れ、大量に販売できる。ネット通販というものを利用しまして商品を販売しているということで安く商品を提供できる」という。「起業のきっかけは長野五輪」という永井社長。インターネットが一般的に普及し始めた1990年代後半。五輪開催にあわせ長野市に世界中から人が集まり、パソコンに触れる姿を見て、ネット販売のスタイルを思いついた。「もともと米国のアパレル、Tシャツ関係が好きだった」というのが商材の原点だ。


 現在の売上はプリント・配送のグループ企業をあわせて15億円。10年間で売上30倍になった。伊那市という地方都市にありながら、東京などの大都市圏のみならず全国展開することで急成長したメイドイン長野の企業。まさにネット時代ならではのものづくりのスタイルだ。
 「将来的には、Tシャツ年間販売枚数を1億2000万枚にしたい。日本中のひとたちにオリジナルTシャツの楽しさを伝えたい」と、永井社長は夢を語る。

夢を与え地域を活性化

Tシャツだけじゃない!なんと音楽レーベルも!!

 この会社、Tシャツだけではない。本社ビルの5階にはステージ、4階には放送スタジオ、外には中継車を備えている。まるでミニ放送局の様相だ。
 いったいこれは?永井社長に質問すると、驚きの答えが。「地域の方に喜んでいただくために問屋街ミュージックというレーベルをつくりまして活動しております。」なんと!Tシャツの製造販売の傍ら、ミュージシャンを抱え曲をつくり、CDを販売する音楽事務所でもある。


 プロ野球独立リーグ・ベースボール・チャレンジ・リーグ信濃グランセローズの公式応援団としても活躍中のアイドルグループ「パラレル☆ドリーム」や、シンガーソングライターとしてだけでなくプロデューサーとしても活躍中の「ふかせ・ひとひろ」、カントリーミュージックの「カウガール☆ココ」の3アーティストたちが、問屋街ミュージックで活動している。

Tシャツも音楽も同じ!長野から世界へ発信!!

 イベントステージのほか、ラジオやインターネット番組にも出演するアーティストたち。本社ビルでは定期的にライブも開催している「パラレル☆ドリーム」は伊那市など長野県出身の10~20代の社会人や大学生、高校生の女性5人組。それぞれ勉強や仕事をしながらの活動で、地元を盛り上げたいと張り切っている。
 メンバーのみかさんは「伊那谷から長野県を盛り上げていきたい」。ゆかさんも「多くのファンに支えられている」と手ごたえを感じている様子。「Tシャツも音楽も、長野県から世界へ発信していきたいです!」

 しかし、なぜ音楽事業をはじめたのだろうか?
 「オリジナルTシャツも音楽も、みんなに夢を与える。そして地域を活性化するということで、すべて同じだと私は考えています」と永井社長。インターネットを活用すれば、地域に縛られることなく、ビジネスを広げることができる。音楽事業も決して趣味というわけでなく、「売上3億円」が目標だ。
 既存の枠にとらわれない発想で大きく成長したTシャツビジネス。「世界へ発信」もモットーに、信州伊那のものづくり企業の挑戦は続く。

【取材日:2014年04月17日】

企業データ

株式会社問屋街
長野県伊那市坂下3320問屋街ビル
http://www.tonyagai.info/