[サイプラススペシャル]278 汎用技術で取引先メーカーのコア部品加工を担う メーカー開発品のため「決して見せられない」ものをつくる信頼と技術力

長野県岡谷市

共栄製作所

創業以来汎用機による多種少量の部品加工を手掛けてきた共栄製作所。これまでも国内の名だたる大手メーカーからの依頼で、製品のコアとなる部品を製造してきた。極秘に開発される部品のため、「決して社外には見せられない」というほど重要な部分を担っている。優秀な技術者を自社で育てて独立させることで、高い技術力を持つ企業グループを形成していることも大きな特長だ。

取材後記

「動脈・静脈」を支える「毛細血管」企業

昭和32年の創業以来社長を務める武井久芳さんの経営指針は、「取引先の大手メーカーが動脈・静脈ならば我々は豊富な技術者たる毛細血管たれ」。農家の牛小屋からスタートした会社は、現在県内外に3つの会社と4つの工場を持つ企業グループに成長した。原点は、汎用技術にとことんこだわることだという。

汎用機械による部品加工技術を磨く

汎用技術の基本となるのは、その技術の粋を集めて作られる「汎用機」。共栄製作所は諏訪地域で初めてNC機械を導入して、NC旋盤の開発にいち早く取り組んできた。その後マシニング加工が主流になる中でも汎用技術を磨き続け、多種少量の高度な部品加工を長年に渡って手掛けてきた。

「決して見せられない」ほど高水準のIHI技術

この製品は、大手メーカーのIHI製のコールドコンプレッサー。このメンテナンス及び新規組立を、共栄製作所が担当した。製品の根幹を担う部品のため、外部には一切見せられないという。この後継機種については、「外見すらも見せられない」という。過去には、専用機を自社設計及び製作し、量産対応してきた。この実績と高度な機械組立技術を持っているので、大手企業から信頼されていることが最大の強みだ。

部品加工はミクロ単位

この部品は、IHIのコンプレッサーに使用されている軸受。いくつもの部品を組み合わせて作られていて、完成した際は10ミクロン以内の公差に管理されている。これ以外にも機械による加工が難しいとされるこのような5軸製品も、共栄製作所だから出来るものだという。取材した駒沢工場をはじめ、グループの企業・工場それぞれが得意とする特殊技術を有している。(5軸とは、5軸加工機をあらわし、X、Y、Z軸移動の3軸加工機に回転軸を2軸付加して、同時制御出来る機械。)

後継者に工場を「暖簾分け」

家族経営で親から子へ受け継がれるものづくり企業も多いが、共栄グループの方針はそれとは異なる。自らが育てた社員の中から優秀な人材を後継者に指名して、工場ごと任せて別会社として独立させるという、いわゆる「ものづくりの暖簾分け」ともいうべき方式をとっている。「企業は家業ではない。能力のあるものが継承していくべきだ。」という武井社長の経営指針が、半世紀を経て高い技術力を持つ企業グループを形成してきた。

【取材日:2014年05月28日】

企業データ

株式会社共栄製作所
長野県岡谷市南宮2-6-26 TEL:0266-22-4809
http://www.kyoei-seisakusyo.jp/