[サイプラススペシャル]285 新工場を立ち上げ地元産原材料の活用を促進 江戸時代から続く七味唐辛子の老舗ブランド

長野県長野市

八幡屋礒五郎

長野県に住む方は誰もが目にしたことがあるであろう、赤と金の七味缶。
江戸時代から善光寺門前で売られてきた八幡屋礒五郎の七味唐辛子は、長野県民や観光客に親しまれてきた郷土の名産品だ。近年では七味唐辛子以外にも商品ラインナップを増やしているほか、今年地元で栽培した原料を活用するための新工場を立ち上げた。

取材後記

江戸時代から善光寺門前で七味唐辛子を製造販売

「七味唐辛子の原料は、産地や季節によって微妙に風味が異なる。バランスを考え、品質を安定させることが何よりも大切です。」と話すのは、創業から9代目となる社長の室賀豊さん。八幡屋礒五郎は善光寺門前で、江戸時代から七味唐辛子を製造販売してきた老舗中の老舗だ。伝統の味を守るために、現在も徹底した原材料選びと品質管理をおこなっている。

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出来る限り地元で原材料を生産

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室賀社長は長年に渡って、七味唐辛子の原材料を地元で作る取り組みを続けてきた。昭和初期までは全ての原料を地元で確保できたが、時代の変遷と共に栽培の絶えてしまったものも多い。七味にあう唐辛子の品種を信州大学と共同で開発したほか、山椒や紫蘇などは長野市郊外の農家と契約して栽培を進めてきた。現在は栽培が許可されていない原料以外は、地元栽培の比率を増やしているという。

飯綱町に新工場を立ち上げ

これらの地元で採れた原材料を製品に活用するためには、洗浄・乾燥・選別などの様々な工程が必要となる。このために新たに作られたのが、飯綱町の牟礼工場。自社農園や周辺の契約農家で収穫された唐辛子や紫蘇・山椒などが、この工場に運ばれ原料となるまで加工される。この工場には「地域の名産品として少しでも多くの原料を地元で育てたい」という室賀社長の願いが込められている。

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観光客に愛される

善光寺門前の大門町店では、観光客が絶えず買い物に訪れている。一般的に販売されている七味唐辛子だけでなく、辛さや分量の異なるものや原料を個々に製品化したものなど、大門町店でしか手に入らない商品も多い。店頭には原材料の産地を記載したボードも設置されていて、長野県産の原料も以前に比べて増えているという。

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老舗の味を守りつつ新たな取り組みも

八幡屋礒五郎では伝統の味を守ると同時に、新たな商品づくりも進めている。このマカロンは七味唐辛子に使われる7種類の原材料をクリームに混ぜ込んでいて、観光客にも好評だ。「将来は和食だけでなく洋食にあう七味唐辛子も開発したい」という室賀社長のもとで、「温故知新」の製品づくりが続いている。

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【取材日:2014年7月24日】

企業データ

株式会社八幡屋礒五郎
長野市柳町102-1 TEL:026-231-3966
http://www.yawataya.co.jp