[サイプラススペシャル]297 150人社員全員が「正社員」 「オンリーワン」の電磁接触器

長野県諏訪郡下諏訪町

WashiON共立継器

オンリーワン企業として鷲の如く天高く
半世紀の伝統「電磁接触器」メーカー

地元・下諏訪町の鷲ヶ峰と「オンリーワン(Only One)」から名付けられた「WashiON(ワシオン)」。
2012年、創立50周年を契機に新ブランドを打ち出し、オンリーワン企業として、空を舞う鷲の如く天高く上昇しようとするWashiON共立継器は、電磁接触器の専門メーカーとして高いシェアを獲得し、2014年の決算では前期比1割増の売上30億円超と、業績も好調だ。
今年9月、新たにトップに就任した追分泰社長に話を伺った。

唯一無二の電磁接触器

簡単に言えば「スイッチ」

「私たちが作るのは、電磁接触器です」ひとことで接触器と言っても、手のひらサイズから、冷蔵庫ほどまで、大きさは様々だ。 ところで、WashiON共立継器がつくる「電磁接触器」とはいったいどんなものなのだろうか?さっそく追分社長に伺った。

「簡単に言えば、『スイッチ』です」と、社長。「専門的には、電源切替開閉用電磁接触器、高圧電磁接触器、直流電磁接触器、各種継電器、 電動車輌関連機器などを扱っていますが、基本は『スイッチ』と言った方がわかりやすいですよね」

「1000分の5秒以下」一瞬で切り替える

電気回路をつないだり切ったりする「スイッチ」。仕組みは単純、しかしWashiON共立継器はどこにも負けない品質と信頼性を誇る

「例えばコレは、ビルや工場、データセンターが停電になった時に非常用電源に切り替えるスイッチです」家庭用冷蔵庫を横にしたほどの大型の筐体。「1000分の5秒以下で切り替えるので、サーバーやコンピュータは停電したことに気が付かない」と、追分社長も自信を示す、高速で切り替えることのできるオンリーワンの技術だ。

「シェア100%」電車ドア開閉用スイッチ

工場内で組み立てられていた手のひらサイズの部品は、「電車のドア開閉用スイッチで、日本中すべての電車に使われている」という、シェア100%の製品だ。鉄道や通信など、高い信頼性を求められる分野でWashiON共立継器のスイッチが採用されている。

「暮しになくてはならない、直流大電流のスイッチを手掛けている」というWashiON共立継器。電極が切り替わる交流のスイッチをつくる会社は多いが、「直流で、しかも大電流を扱えるのは滅多にない」と、追分社長。

蓄積された技術を飛躍させる

得意技は「直流遮断」と「高速切替」

WashiON共立継器の得意とするのは「電磁接触技術」、しっかり電気をつなぎ、瞬時にしっかり電気を切る技術だ。
追分社長に伺うと「得意なのは、直流遮断と高速切換です。直流電流を遮断するときに確実に火花が飛ばないように電流を切る、これが私たちの得意技です」という。

火花が飛ぶということは、空中を電気が流れ、完全に電流を遮断することができていない。大電流になればなるほど火花が発生しやすく、「完全に遮断する」ことが難しい。「なんとか完全に遮断できないか」この難題を解決したのは、WashiON共立継器の創業者、宮川昭二会長だった。「磁石で火花を曲げるんです」磁石を使った子どものおもちゃを見て思いついたという技術で、火花の問題を解決したという。

「人材」と「研究開発」が支える技術力

WashiON共立継器の高い技術力は「人材」で支えられている。
「150人の従業員、全員が正社員」と、追分社長。高い技術をもつ社員だからこそ多品種少量の製品ひとつひとつ、信頼の品質を維持することが可能だ。「接触する部分をしっかり組み立て、チェックをするには熟練の技が必要。電気を切る、という仕組みは単純だからこそ、一つ一つ人手がかかる作業です」

人材とならび高い技術力を維持するもうひとつの核は「研究開発」。千曲工場にあらたに完成した直流電磁接触器の実験棟は、国内有数の最新の実験が可能だ。さらに新たな収益源を育てようと太陽光発電システムの分野にも参入した。

「需要開拓」と「海外展開」で未来へ

「鉄道関連機器をさらに広げることや、新しく参入した太陽光発電など、国内もまだまだ開拓の余地がある」と、追分社長。「それに当社が活躍できるのは国内だけでない」現在、マレーシアなど海外にも展開しているが「東南アジアや中国、台湾などさらに輸出を増やしていきたい」海外販売にも力を入れる。

新たな分野へ積極的に挑戦するWashiON共立継器。信頼の技術で未来をつないでいく。

【取材日:2014年10月20日】

企業データ

WashiON共立継器株式会社
長野県諏訪郡下諏訪町4684番地1 TEL:0266-27-8910
http://www.washion.co.jp