[サイプラススペシャル]298 長野県産の大豆と米100%で作った味噌「健康長寿」 おいしさ届けて健康づくり

長野県岡谷市

松亀味噌

気候風土が適していることから、味噌製造企業の多い諏訪地域。この地で80年以上に渡って味噌造りを続けているのが、岡谷市にある松亀味噌だ。原材料にこだわった味噌造りが特徴で、過去に農林大臣賞や厚生大臣賞なども受賞している。この松亀味噌がこのたびリニューアルした商品が「健康長寿」。原材料の大豆と米は長野県産100%で、麹菌も長野県で開発されたR2を使用している「メイドイン長野」のブランドだ。

取材後記

戦前から続く味噌づくり

「おいしさ届けて健康づくりという社是に基づいて、今日まで会社を経営してきました。」と話すのは、会長の小口政博さん。創業当初は製糸業としてスタートしたが、世界恐慌を発端とする製糸業の衰退によって業態転換を迫られる。その際女工たちの賄い用にしていた味噌づくりの経験と設備を活かして、昭和8年に味噌製造に転身して今日に至っている。

その名も「健康長寿」

松亀味噌がこのたびリニューアルしたブランドが、この「健康長寿」。この製品の最大の特徴は、地元産の原材料へのこだわりだ。味噌の主原料となる大豆と、発酵に使われている米麹は、100%長野県産のものだ。また麹菌も長野県工業技術総合センターが開発した「R2」を味噌業界で最初に使用していて、従来品よりも色合いや旨味が向上しているという。パッケージデザインも地域資源製品開発支援センターの協力を受けるなど、長野県の粋を集めた逸品だ。


原料と素材へのこだわり

この健康長寿に限らず、選び抜いた原材料を手間暇かけて仕込むことが松亀味噌のこだわりだ。「みそ造りはシンプルなので、機械や技術では大きな差は出ない。原価が高くても良質な原材料を使用しています。」という小口会長。原料となる大豆の国内産比率も約3割と高く、安全安心を第一に考えた味噌造りを続けている。

いまだに木桶も「現役」で活用

味噌蔵に並ぶ昔ながらのこの「木桶」。同業他社では廃棄されてステンレス製やFRP製に切り替わっているが、松亀味噌ではいまだに約100本の木桶が現役で活躍している。主に「健康長寿」などの天然醸造味噌の仕込みに使われていて、松亀味噌の大きな特徴の一つとなっている。

海外にも販路を広げる

味噌業界の現状は決して楽観的ではない。成熟産業の一つと位置づけられ、国内での消費も頭打ちが続く。そんな中で小口会長が夢に描くのは、海外への販路拡大だ。地元の原料にこだわった「健康長寿」を、国内ひいては海外で取引されるブランドに育てることで、現在は国内生産量のほんの数%に過ぎない輸出比率の増加につなげたいという思いを強く持っている。

【取材日:2014年10月22日】

企業データ

松亀味噌株式会社
長野県岡谷市湖畔1-10-19
http://matsukame-miso.co.jp/info/index.html