[サイプラススペシャル]307 「五感」で醸し出す手作りの味 選りすぐった原料を杉桶で熟成

長野県中野市

マルヰ醤油

蒸した大豆を炒って砕いた小麦と混ぜ、種菌を加えて作られた麹に塩を加えてもろみを作る。このもろみを発酵・熟成・圧搾した生醤油を火入れして充填する。このような昔ながらの醤油づくりを忠実に守り続けているのが、中野市にあるマルヰ醤油だ。原料も地元長野県産にこだわっていて、平成25年度は全国で最高となる農林水産大臣賞を受賞している。

取材後記

民野社長

昔ながらの製法にこだわる

「目で見て、鼻で匂いを感じて、人間の五感を頼りに作ります。」という民野博之社長の言葉通り、マルヰ醤油の醤油づくりは昔ながらの伝統的な製法だ。およそ一年の歳月をかけて桶で熟成するまで醸したもろみから昔ながらの方法で搾りだされたものが、天然醸造のマルヰ醤油として食卓に並ぶ。

仕込みは「杉桶」

仕込み蔵に並ぶのは、明治時代に造られた七尺の杉桶。この桶に麹を入れ、塩を加えながら熟成されるまでじっくりと櫂入れをおこなう。このように天然熟成させてもろみから、マルヰ醤油が作られている。また長野県テクノ財団の協力を得て、杉桶から抗菌性を有する乳酸菌を抽出して、これを活用する研究開発も進められている。

原材料へのこだわりも

醤油づくりの麹の原料となる大豆と小麦は、ほとんどが地元信州産だ。塩も天日塩を使用するなど、原料へのこだわりに妥協はない。また昨年からは長野市内の遊休農地を利用して障害者施設の方や小学生・農業ボランティアとともに大豆の自社栽培もおこなっていて、独自のブランドとして商品化も実現した。

農林水産大臣賞も受賞

地元産の良質な原材料を使って、手間暇をかけて醸しだされた醤油。このようなひたむきな姿勢で作られた「こいくち本醸造醤油」が平成25年度の全国醤油品評会において、最高賞である農林水産大臣賞を受賞した。技術革新で期間を短縮した醤油醸造が可能となる中、伝統的な技法を守り続ける同社の取り組みが評価された結果だ。

キーワードは「温故知新」

2014年に三代目社長に就任した民野社長。昔ながらの伝統製法を忠実に守りつつ、新たな取り組みもおこなっている。地元の中野市が売出し中のえのき氷を利用した調味料「エノキっ酢」など、醤油の醸造技術を活用した関連商品の開発にも余念がない。郷土食の「しょうゆ豆」を「食べるしょうゆ」としてソースやドレッシングなどにも用途を広げるなど、伝統に基づいた新たな食文化の提案も進めている。

【取材日:2014年12月01日】

企業データ

マルヰ醤油株式会社
中野市西1-5-5 TEL:0269-22-2478
http://www.maruisyoyu.com