[サイプラススペシャル]308 目指すは「人間力」「技術力」「現場力」の向上 精密機械加工と通信用プラグ・ジャックを製造

長野県須坂市

相崎電機製作所

高速道路やビルなどに設置されている緊急連絡用の電話機。普段はめったに使用されないものだが、いざという時に使用できる耐久性や信頼性が欠かせない。これらに使用されている通信用プラグやジャックを製造しているのが、須坂市にある相崎電機製作所だ。このほか産業用機械に使用される金属加工部品を数多く製造していて、その高い精度から取引先の信頼を勝ち得ている。

取材後記

一世紀に渡る精密機械加工メーカー

民野社長

相崎電機製作所は大正6年創業で、まもなく100周年を迎える歴史あるものづくり企業だ。創業の地は東京だが、戦時中疎開した長野県須坂市に現在も本社と工場を構えている。最も得意とするのは精密機械加工で、マシニング・旋盤・ワイヤー・研磨など、様々な加工技術で取引先の要求に高い精度で応えている。開発・製造は勿論、販売までを自社で一貫して行っていることが強みだ。

通信用プラグ・ジャックも製造

もう一つの柱が、通信用のプラグ・ジャック製造。火災などの緊急時や、高速道路の退避箇所に設置されている電話等に使われている。普段はめったに使われないが、いざという時に使用できる耐久性と信頼性が求められる。短頭・双頭プラグやL型・T型ジャックと呼ばれるこれらの製品を国内で製造しているメーカーはほとんどなく、量産しているのは相崎電機製作所だけだと言われている特殊な部品だ。

若手リーダーのもとで

民野社長

現社長の池田英平さんは38歳。大学卒業後出版社の営業マンをしていたが、25歳の時当時の社長だった父親が若くして急逝したため、急遽故郷に戻り社長に就任した。製造業の経験が全くない中での社長就任だったため、一から全てを学ばなければならなかった。そんな経験から「いまを生きる」ことを常に大切にしているリーダーだ。

ベトナムに初の海外製造拠点を

民野社長

現在の製造拠点は本社のある須坂市のみだが、まもなくベトナムに新工場を立ち上げる予定だ。現在多くのベトナム人実習生が従事しているが、短期間で帰国を余儀なくされるため継続して彼らを雇用する環境を作ろうと考えたことがきっかけだった。また国内製造だけでは海外の取引先から高コスト製品だという先入観を持たれてしまうため、それを払拭するという目的もあった。「グローバル化なくして明るい未来はない」というスローガンのもと、今年中の稼働を目指して現在準備を進めている。

今日より良い明日を目指して

相崎電機製作所の経営方針は、「人間力」「技術力」「現場力」の向上。特に技術力の向上に最も重きを置いている。そのため社員に国家技能検定などの資格を取得推奨するなどして、対外的に技術力を「見える化」する企業努力も行っている。「日本のエンジニアと彼らが持つ技術力は、世界に誇れる素晴らしいもの。」という池田社長。社員一丸となって、「常により良く」という想いで、日々ものづくりに取り組んでいる。

【取材日:2014年12月11日】

企業データ

株式会社相崎電機製作所
須坂市墨坂南1-16-25 TEL:026-245-5881
http://www.aizakidenki.co.jp