長野県中野市
タカギセイコー
中野市にあるタカギセイコーは、医療機器の中でも「眼科」に特化した機器を開発し製造販売している。斬新なデザインでLEDを採用した明るい最新型のスリットランプ「700GL」や、緑内障を早期発見できる「SPAC」など、独自の「TAKAGI」ブランドを生み出している。海外も含めた幅広い販売網を持っているが、生産拠点は本社のある中野市のみで、まさに「メイド・イン・中野」のものづくり企業だ。
タカギセイコーは昭和30年に現社長の髙木和敏さんの父が創業した「髙木製作所」が前身。戦争を機に中野市に疎開していた医療機器工場に勤務した経験を生かして独立した。当初は東京に本社を置く医療機器メーカーの協力工場として委託製造をしていたが、徐々に自社ブランド製造へとシフト。その過程で選択したのが、眼科専門の医療機器メーカーとなることだった。販売部門も充実していて、自社で開拓してきた販売網が国内250社、海外は60ヶ国におよび確立されている。
主力製品の一つが、「スリットランプマイクロスコープ」と呼ばれる目を診察する顕微鏡。昨年新たに市場に送り出したのが、「700GL」と名付けられた製品だ。照明にLEDを採用したほか、ケーブルをなくしてすっきりとしたデザインとなっている。このほか手術用顕微鏡や視力検査装置などを、周辺機器に至るまで全て自社で組み立てている。
「SPAC」と呼ばれるこの走査式前房深度計は、タカギセイコーのオリジナル製品。一旦発症してしまうと完治が難しい緑内障という目の病気を、発症前に未然に防ぐために独自に開発されたものだ。角膜と虹彩との間の距離を測ることで、緑内障を発症しやすい状況をいち早く検知する。角膜が透明なため、距離を測る装置の開発が最も難しかったという。予防医学分野での活躍が期待されている。
タカギセイコーの製品は国内もさることながら、海外の医療現場でも数多く活躍している。これは自社ブランドを立ち上げた当初、国内での競合を避けるために海外への活路を見出したためだ。毎年開催されるアメリカ・ヨーロッパの展示会をはじめ、2年に1回の国際眼科学会、アジア太平洋眼科学会展示会に出展してPRに努めた結果、性能が認められ市場に定着した。海外視察でタカギセイコーの製品を知った国内の眼科医が、帰国後導入するというケースもあったという。
今年創業60周年を迎えたタカギセイコーだが、創業以来生産拠点は全て本社のある中野市内に置いている。「当社の製品はメイド・イン・ジャパンというよりも、メイド・イン・中野です。」という髙木社長の言葉通り、地元でのものづくりにこだわってきた。60周年を機に多くの新製品を市場に投入する予定だという。このほか眼科医のいない地域の患者を遠隔で診断する装置の開発も進めていて、今後もタカギセイコーから「目」が離せない。
株式会社タカギセイコー
長野県中野市岩船330-2 TEL:0269-22-4511
http://www.takagi-j.com