長野県上田市
フロンティア
いまや我々の日常生活にすっかり定着した、PETボトルなどの樹脂容器。このプラスチック容器の成形機を製造しているのが、上田市にあるフロンティアだ。プラスチック樹脂で新たな分野の容器を成形する装置を多数開発していて、消火器やLED電球など従来は金属やガラスでしか出来なかったものをプラスチックで成形することを可能としている。
フロンティアは1994年に、現在も社長を務める中村喜則さんが創業。社名の通り、まさに「フロンティアスピリッツ」に溢れたものづくり企業だ。創業以来設計・開発に重点を置き、取引先メーカーのニーズに応えて様々な用途に使用されるプラスチック樹脂の成形機器を生み出してきた。モットーは「世界初の樹脂製品を作り出すこと」だ。
本社のロビーには、自社で開発した樹脂成形機で作られた様々なジャンルの製品が並ぶ。身近なものではガム容器やポリカーボネート製のLED電球から、コンビニエンスストアで販売されているアイスコーヒー用の氷の入った容器もフロンティアの樹脂成形機から作られている。また従来は金属製しかなかった消火器を、メーカーと共同で8年がかりで製作した。金属製に比べて重さは半分だが、性能は全く見劣りしない。
現在は飲料・食品などの用途での利用が多いPETボトルだが、フロンティアの中核製品である二軸延伸ブロー成型技術は、これらを医療用や化粧品用などの新分野でも活用することを可能にしている。小さなPET樹脂容器に熱を加え形状と組織を一度に成形して、大量に生産していく。より高速に、より軽量に製造する技術を追究し続けている。
この成形機で作られる大型樹脂容器の容量は、何と40ℓ。今までは20ℓのものが最大だったが、容量を一気に倍増させた。現在は金属製で相当な重量となるLPガスなどの産業用ガスに使用する次世代のボトルとして開発されたもので、耐熱性が良くガスの遮断性も高いことから消火器同様将来の代替活用が期待されている。
世の中になかった数々の樹脂製品を生み出してきたフロンティア。市場や顧客ニーズをいち早く掴み、困難な開発を乗り越えて製品化する日々が続く。2012年には本社の向かい側に「技術開発センター」を新設し、さらに開発への取り組みを強化している。残念ながら内部の取材は出来なかったが、この建物の中で新たな分野の樹脂製品が産声を上げる日も近いだろう。
株式会社フロンティア
長野県上田市小島333番地 TEL:0268-38-0088
http://www.frontier-inc.co.jp