[サイプラススペシャル]339 大型バスなど輸送機器エアコンを製造 「少量多品種で高性能」を目指す

長野県安曇野市

GAC

安曇野市の豊科と穂高に本社と工場を構えるGACは、DENSOグループの一角を担うものづくり企業だ。特に大型バスの空調システム分野では、国内で圧倒的なシェアを誇っている。現在は住宅用の全館空調など、輸送機器部門以外の事業拡大にも力を入れている。

取材後記

新しい価値を提供する製品をつくる

大矢社長「熱交換技術で、社会の小さな声にも応える企業でありたい。」と語るのは、社長の大矢修三さん。社長就任当初からの目標は「GACを更なるグローバル企業に育てる」ことと、「主力である自動車用エアコン関連以外の事業を育てる」ことだったという。就任から3年を経て、その目標に向けて着実に歩み続けている。

バス用エアコンで国内トップシェア

GACの主力製品は、大型バス用エアコン。国内全体で9割以上のシェアを占めていて、年間6000台がこの工場で製造されている。頻繁に乗り降りする路線バスは大風量で、長距離を走る高速バスは少風量でというように、用途や状況に応じて最適な温度を保つよう設計されている。

エアコン製造工程 設計部門

製造ラインを自動化

こちらの農業機械用のエアコン製造ラインは、以前手作業で組み立てていたものを自動化したもの。「必要に応じて必要な速度で」という観点から、極端なスピードアップを避けて設定されている。これによって高速ロボットによるラインの4分の1の設備投資に抑えると同時に、従来の製造ラインから加工時間を半分に短縮した。

製造ライン 部品アップ

全館空調を新たな事業の柱に

現在輸送機器のエアコン製造が全体の約70%を占めるGACだか、これ以外の事業拡大にも取り組んでいる。その代表的なものがこの「全館空調」。1つのシステムで屋内の全部屋を一定の温度に保つことで、複数の空調機を設置する必要がなくヒートショックも防ぐ装置だ。現在は売上全体の5%程度だが、将来的には20%程度まで伸ばすことを目標にしている。

全館空調模型 実験棟

新工場建設で更なる飛躍を

現在穂高工場に隣接する敷地に、新工場を来年完成させる予定のGAC。生産拠点を穂高に集中することによって更なる業務の効率化を図っている。海外市場にも目を向けていて、「安曇野にありながら世界を制するような企業にしていきたい。そうすれば従業員にとってもそれが誇りになる。」と話す大矢社長のもと、安曇野から世界に羽ばたくグローバル企業を目指す。

穂高工場外観

【取材日:2015年7月22日】

企業データ

GAC株式会社
〒399-8286安曇野市豊科1000 ℡0263-73-8000
http://www.gacjp.com