[サイプラススペシャル]345 締め付けないのに固定するサポーター「HOLZAC」 靴下づくりをベースに新製品を開発

長野県長野市

TOSCOM

TOSCOMは長野市篠ノ井で長年靴下を製造してきた東京靴下長野工場を母体に、2008年に設立された。工場を引き受け社長に就任したのは、長年東京靴下の本社に勤めていた北原俊さん。
機能性や特徴のある様々な靴下を製造してきたが、新製品の開発にも意欲的だ。その大きな布石として、今年新たなジャンルのサポーター「ホルザック」を商品化した。

取材後記

社名から「靴下」をあえて取る

北原社長「あえて創業の際に『靴下』を社名から取ることで靴下にこだわらない製品開発を目指してきました」という北原社長。東京靴下長野工場として戦後間もなくから培ってきた靴下づくりとそのノウハウを活かしつつ、新たな付加価値をユーザーに提供するものづくり企業への脱皮を図っている最中だ。

社内一貫生産で作り出される「靴下」

新たなジャンルに挑戦しつつも、現在も主力製品は長年作り続けてきた靴下だ。量産品は勿論、様々な特徴ある靴下も数多く製造している。起毛することで毛布のような温かさを持つ靴下や、原料にシルクを使った足を冷やさない靴下など、機能性を高めた製品づくりもTOSCOMの大きなセールスポイントだ。

編み機 製造現場


新感覚のサポーター「ホルザック」

商品並びTOSCOMが今年市場に送り出した新製品が、この「ホルザック」。開発のきっかけは、数年前に社長が膝を痛めたことだった。知人であるスポーツ医学で有名な整形外科医の吉松俊一先生に相談したところ、「一般的なサポーターは締め付けがきつい。膝の痛みを軽減させるにはテーピングが一番いい」というアドバイスを参考に、テーピングの感覚で固定するサポーターの開発に着手した。

靴下づくりのノウハウを活かして

装着特徴は、靴下用の糸で編んだ生地の上に、シリコンを立体的に付着させていること。この技術開発に2年もの歳月を要した。これによって「締め付けないのに固定する」という、相反する事象を可能にする全く新しいジャンルのサポーターが完成した。ヒザ用と足首用があり、足腰の弱ってきたお年寄りや、健康維持のためウォーキングをする人などが日常的に使えることが既存の製品とは大きく異なる点だ。

「製造業」から「提案型企業」に

ホルザックは長野県柔道整復師会加盟の整骨院・接骨院で取扱いされているほか、一部地域で試験販売を行っているが、購入者からの反応は上々だ。今後は大型店のスポーツ用品売り場や通信販売などで販路拡大を図ると同時に、腰や肩などにも使用できる新製品の開発を目指している。顧客に付加価値を感じてもらえる商品を社員一丸で生み出していく事で、「製造業」から「提案型企業」への変身を加速させる。

集合写真

【取材日:2015年10月2日】

企業データ

株式会社TOSCOM
〒388-8014長野市篠ノ井塩崎130-1 TEL:026-292-2140
http://www.toscom-inc.co.jp/