[サイプラススペシャル]377 信州大学アクア・イノベーション拠点 海水の真水化技術 新たな膜の開発に成功

長野県長野市

アクア・イノベーション拠点(COI) 犬飼 茂樹研究員

海水から真水を取り出す際に多く利用されるのが「逆浸透膜」と呼ばれる膜。信州大学などの研究チームは従来の性能を保ちながら耐久性を高めた新たな膜を開発しました。特徴は材料の強度を高めるカーボンナノチューブ(CNT)を多く混ぜたことです。このため耐久性が向上して膜の交換回数が減るなど、コスト削減につながることが期待されています。

取材後記

強みを生かした新開発

研究チームを率いるのは、カーボンナノチューブ研究で第一人者の遠藤守信・信大特別特任教授。信大の強みに着目した犬飼研究員は、繊維を解きほぐす解繊(かいせん)という特殊技術で従来の膜に「混ぜる」ことに成功しました。

写真は新開発の膜。微細な炭素繊維のカーボンナノチューブを15.5%複合しているため、黒ずんでいるのが特徴です。

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カーボンナノチューブ イメージCG

海水の真水化技術 向上目指す

アクア・イノベーション拠点によりますと、使える水は地球の水の0.01%。世界的には今も真水が不足している国や地域があります。研究チームは海水を真水にする水処理技術の向上を目指し、様々な実験を重ねています。

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青~緑の亀甲がある構造物がカーボンナノチューブ
(アクア・イノベーション拠点提供)

実用化に向け研究続く

新開発の膜の可能性について犬飼研究員は「過酷な条件でも使える可能性に期待したい」と話します。チームでは今回の成果を生かした浄化装置の実用化に向け、研究を続けています。

【取材日:2016年05月16日】

企業データ

アクア・イノベーション拠点
長野県長野市若里4-17-1 信州大学長野(工学)キャンパス内 国際科学イノベーションセンター
http://www.shinshu-u.ac.jp/coi/